安徽省の黄山の麓にある黟県の古い民家群は、徽派の建築芸術の代表となっている。完ぺきな形で保存されている古い民家と祠は県内に、明のものが29棟、清のものが3611棟もある。その建築風格は徽派の特徴が目立ち、レンガ、木と石の彫刻技術が優れ、豪華で上品に造られている。これらの古い村と民家の建築物は観光地だけでなく、学術研究の価値もあるので、観光資源でありながら貴重な歴史文物でもある。そのうち「中国明・清の民家博物館」と言われる西逓村と宏村は、安徽省の古い村の代表的な建築物と見なされている。西逓村は黟県の県政府所在地の東南部にあり、いまでも明、清の民家が300棟も残っており、そのうち完ぺきな形で保存されているものが124棟もある。村の中の通りの配置などは昔のままで、古風で立派な建築物によって、国内外の建築家に「世界で最も完ぺきに保存されている古い民家建築群」「世界で最も美しい村」とたたえられている。胡文光刺使坊、瑞玉庭、桃李園、西園、東園、大夫第、敬愛堂、履福堂、青雲軒、膺福堂、篤敬堂、凌雲閣などは西逓村の中の最も優れた古代建築物である。宏村は黟県の中心から11キロしか離れておらず、牛の形をした古い村である。全体から見れば、西側の雷崗は牛の頭のように高くそびえ立ち、村の入口あたりの2本の大木は牛の角、吉陰水をかかった4本の橋は牛の足、数百軒の明、清の民家がびっしり並んでいて、まるで伏した牛の胴体、村全体をまわる河の水は牛の腸、三日月形の池は牛の胃袋、南にある湖は牛の腹部。宏村の村民たちは自らの智慧や汗によって、この牛の形の村を上手に築造し、このうえなく優れた田園風景を創り出している。
2000年に西逓村と宏村は最も優れた古い民家として国連のユネスコによって『世界文化遺産』に登録された。
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