「購入して1カ月あまりが過ぎました。毎日乗っていて気づきましたが、以前の車よりもだいぶガソリンの節約になっています」
彼はそう語った。
学長がどこかのメーカーの宣伝をしているようにはまったく思わなかった。この話を聞いた元学生たちはむしろ、母校に対して、そしてオピニオンリーダーの役割も果たしている学長に対して、その環境保護意識の高さに好感を持ったのではないだろうか。
野松先生は大学教授だ。
「工業区の近くに住んで20年あまり、私はひどい喘息持ちです。以前は車を運転していましたが、喘息になったのを機にやめました。車は空気汚染になり、他の人まで喘息になってしまいますから」
彼女はそれだけの理由でもう何年も車を運転していなかった。
先生は最近再び運転するようになった。大学は交通が不便な郊外にあり、仕事で外出するにも車が必要なことが多い。先生ももう若くはなく、毎日歩くのも自転車やバスを利用して通勤するのもあまり現実的ではない。しかし、車を買う決心がついた最大の理由はハイブリッドカーの登場だ。
「普通の車に比べて価格は少し高いですが、省エネと環境保護という観点からすれば十分受け入れられるものでした」
先生は言った。