「米国のアジア回帰」の背景にある中日関係

「米国のアジア回帰」の背景にある中日関係。 野田首相は、ドジョウ哲学」で現実主義的な外交政策をとり、米国の世界戦略の東進・アジア太平洋回帰を利用し、日米同盟という機軸を強化するプロセスで、価値観外交を展開して対中乖離政策を進め、日米同盟を中心とした東アジアの新しい安全保障の枠組みを構築している…

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発信時間: 2011-12-29 11:06:50 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

中国社会科学院日本研究所外交研究室 呂耀東

2011年、日本の「外交青書」の巻頭言には、「(震災後の)復活を果たすためにも、外交に全力で取り組む決意」とある。菅直人内閣は震災後復興を日本の内政外交の最重要課題にしようとしていたが、野田氏は、首相になってまもなく全力で中国・韓国と安定した外交関係を構築し、中日の戦略的互恵関係を推進すると表明した。ところが、野田首相は、日本の対外関係の調整に着手する過程で、「ドジョウ哲学」で現実主義的な外交政策をとり、米国の世界戦略の東進・アジア太平洋回帰を利用し、日米同盟という機軸を強化するプロセスで、価値観外交を展開して対中乖離政策を進め、アジア太平洋地域に防災緊急時メカニズムを設立するという名目で、日米同盟を中心とした東アジアの新しい安全保障の枠組みを構築している。また、日本は「非核化」を放棄する政策を選択し、一部のアジア諸国と原子力エネルギーで協力を強め、「南中国海」問題の名を借りて、アセアン諸国やインドを懐柔し、中国に対抗しようとしている。

一、日本は全力で日米同盟関係を修復、強化

2011年の日本「外交青書」には「日米同盟は、日本の外交・安全保障の基軸であり、(中略)日米同盟を、21世紀にふさわしい形で、更に深化・発展させていく考えです。(別項)普天間飛行場の代替の施設に関する(中略)日本政府としては、この昨年5月の「2+2」共同発表を踏まえてしっかりと取り組むと同時に、沖縄県に誠心誠意説明を行い、理解を求めていく考えである。」とある。野田佳彦氏が国政に登場して以来、積極的に「日米同盟は日本の安全・外交における最大の財産である」と主張しており、日米同盟関係の強化を意欲的に進めている。

(一)日本は、盛んに米国の日本被災地に対する多角的な支援活動を賛美している。2011年9月7日、民主党政調会長の前原誠司氏は訪米し、「東日本大震災と日米同盟」というテーマで講演を行った。そこで米国が行った日本被災地に対する人道支援を賛美し、米軍が展開した「トモダチ作戦」という震災救済活動に感謝を示した。また、「日米同盟の強化はアジア太平洋地域の平和安定に不可欠である」と強調し、日米同盟の被災地復旧における重要性を述べている。

(二)日米は、両国の同盟関係の強化を再確認している。まず、日米外相会談で同盟関係を強化していくことを確認している。2011年9月19日、初めて訪米した玄葉光一郎外相は米国のクリントン国務長官に、「日本は駐日米軍普天間飛行場の沖縄県内移転を既定した日米協議を推進する」ことを確認している。両国は意見の一致をみて、日米同盟をアジア太平洋地域の「共同財産」として更に深化しようとしている。玄葉外相は、「野田内閣は日米同盟を基軸に外交を展開する」と表明。そして、日米首脳で同盟関係強化を更に進めることを確認している。9月21日、野田首相とオバマ大統領はニューヨークではじめて会談し、引き続き日米同盟を強化しようというコンセンサスを得た。野田首相は、「我々はこれを日本の外交の中核であるとこれまでも認識しており、東日本大震災後、更にその確信を深めた」と強調し、日米同盟強化を自分の任務として受け止めていると表明している。

(三)野田首相は、駐日米軍普天間飛行場の移転問題の解決点を探り、日米同盟修復に努めている。日米首脳がニューヨークで会談したとき、野田首相は、日米協議に基づき、飛行場を沖縄県名護市辺野古に移転することを承諾した。9月27日、衆議院予算委員会の会期中、玄葉外相は普天間飛行場の米海軍陸戦部隊の機動性と緊急性を強調し、「東アジア地域に近い沖縄には、なんとしても海軍陸戦部隊が必要である」と指摘した。10月25日、野田首相は訪日した米国国防部のパネッタ長官との会見時に、「日米同盟の根幹は安全問題にある。日本は米国と緊密な協力関係を保ち、防衛力向上に尽力する」と述べた。パネッタ長官はこれに答え「日米両国が50年以上培ってきた同盟関係は太平洋地域の安全保障の基礎である」といい、お互いに日米関係の重要性を確認した。

二、日本の対中政策の不確実性

 野田首相は政治の舞台に登場してすぐ、日本と中国は多層的、多角的な交流と協力関係を強化、両国国民の感情を改善して、全力で日中両国の安定した外交関係の構築に尽力すると表明した。だが、釣魚島領土主権問題や、東中国海の権益問題などでは、中国に対する強硬姿勢をとり続ける傾向が見られる。

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