第5回となる中日韓首脳会議が13日、北京で開かれ、中日韓3カ国の自由貿易協定(FTA)の年内交渉入りで合意し、投資協定に署名した。
実際には、中日韓FTAは利益の衝突や米国のけん制があるため難航が予想される。ただ、経済の地域化が進む中、FTA締結は3カ国共通の利益であり、大きな流れでもある。具体的な協力を通じて相互信頼を増進し、利益を共有していけば、FTAの締結は不可能ではない。
北東アジアの中日韓3カ国の人口と経済力はいずれも世界の22%を占め、北米、欧州と並ぶ世界3大経済圏だが、経済一体化の深度や範囲は欧州や北米のほか、東南アジア諸国連合(ASEAN)や南米などの地域にも大きく遅れている。世界経済がゆるやかに回復、保護貿易主義が台頭する中、各国は地域経済の一体化を強化することで市場を開拓し、競争力を高めている。こうした情況にあって、中日韓の経済協力の条件はすでに整っており、FTAの締結は世界の大きな流れでもある。経済の相互需要の増強、貿易量拡大、貿易障碍の除去、地域市場の拡大、経済融合の推進によって3カ国は互恵・ウィンウィンを実現できるだろう。
経済上の共通の利益と互恵協力で必ず政治的・戦略的な相互理解と相互信頼が強化される。FTA締結は3カ国の歴史が残した問題の解決にもつながり、北東アジアおよび東アジアの政治上の安全保障メカニズムの早期形成、地域のさまざまな問題の自主解決、地域協力のスムーズな発展に向け、物的基礎を提供するだろう。
FTA締結はは経済・政治戦略的な意義があるものの、難航が予想される。中日韓の経済は特徴が似ており、競争関係にある。例えば、中国の農産品は日韓市場に衝撃となり、日韓の鋼鉄・自動車製造業は中国の関連産業の発展に影響を与える懸念がある。
さらに大きな障碍は日米、韓米同盟の枠組みの下、日本と韓国が米国から何らかの制約を受けるに違いないことだ。近年、米国は重心をアジアに移し、中国を除外した「環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)」に、東アジア諸国を引き入れ、東アジアの協力関係の深化を妨げようとしている。米国の戦略的重心が東に移ることで東アジアの地域協力は複雑化し、中日韓FTAの先行きに不透明な要素が加わるだろう。
FTA締結には難題が山積みだが、3カ国にとってメリットがデメリットを大きく上回る。中日韓は協力に対して自信を持ち、具体的な協力を通じてFTAの早期締結を促す必要がある。今回投資協定への署名で、相互の投資行為に法的保護が付与され、投資家により安定した透明な投資環境を提供したことで、投資家の投資意欲がさらに掻き立てられるだろう。
中国側は地理的に日韓に近い山東省にモデル地区を設け、自由貿易区の優遇条件を運用して産業協力、経済・貿易交流を試み、そこでの成功経験を広める構想を提案している。具体的な協力を通じて、中日韓の経済がともに発展・繁栄していけば、FTAの締結も自然に成就するだろう。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2012年5月15日