韓国メディアは27日、韓国政府官僚から得た情報として、政府が26日の国務会議で日本との「軍事情報包括保護協定(GSOMIA)」締結を決めたと伝えた。両国外交当局は早くて29日、遅くても来週には協定に調印するという。情報が伝わると、韓国国内ではすぐに大きな反発が起きた。
第二次世界大戦後初の日韓の防衛協力協定となるGSOMIAは、両国政府の承認が必要なだけで、国会で審議する必要はない。韓国はこれまでに米国、イギリス、オーストラリア、ロシアなど24カ国とGSOMIAを締結している。しかし韓国の各界は、日韓が同様の協定を結ぶことに強く反発。政府が国内の反対を顧みずに協定締結を強行的に進めていることを批判し、政府に決定を取り下げ慎重に行動するよう求めた。
日韓の間に慰安婦などの歴史問題や独島(日本名:竹島)の主権争いなどの矛盾があるため、軍事協力は日韓関係において敏感なこととされてきた。韓国国内の見方によると、当初は日本側が協定に積極的だったのに対し、韓国政府は民間の反日感情を考慮して消極的に対応していたが、近ごろのいわゆる「朝鮮の軍事威嚇強化」に加え、李明博政権になってから韓朝関係が悪化し続けていることを受け、韓国政府は早急に朝鮮の情報を共有する必要があると考え、協定締結を推し進めた。
韓国政府は、偵察衛星や偵察機を使う日本は朝鮮の情報収集や偵察の面で優位性があると見ている。協定締結後、両国は朝鮮の軍隊や社会の動向、核、ミサイルなどに関する情報を交換し、韓国はこれによって朝鮮の情報ルートを拡大することができる。
韓国政府が「こっそり決定した」ことが伝わると、韓国メディアは一時騒然となった。多くの大手紙は28日、韓国政府が民意を顧みずに陰で協定締結を急いで決定したことに反発し、理解できず、心配だとする社説を掲載した。