■下心がある
外交青書がアジア太平洋の安全保障問題に繰り返し言及したのはなぜか。表面的に見るとアジア太平洋地域の調和と安定を「憂慮」しているからだが、実際には外交青書の助けを借りて周辺情勢の「緊張」を誇張することで、人には言えぬ目的を達成するためだと分析される。
清華大学国際関係研究院の呉大輝教授は「外交青書が中国の脅威を誇張したのは、『自由の海洋の弧』という政府の外交方針のために、脅威の雰囲気をつくりあげるものだ。『自由の海洋の弧』は2006年の第1次安倍内閣時に打ち出した外交方針『自由と繁栄の弧』と同様、本質的に『対中包囲の弧』を築こうとするものだ」と指摘した。
実際、日本政府はすでに外交政策「自由の海洋の弧」をめぐってしきりに行動を起している。安倍氏は今年、東南アジア諸国を繰り返し訪問している。最近、安倍氏の影はモンゴルにも出現した。
こうした頻繁な外交的動きについて、中国社会科学院日本研究所の呂耀東研究員は「日本のアジア太平洋外交戦略は、アジア太平洋諸国と連携して中国に対抗することを意図している。1つには『中国の脅威』を宣伝することでアジア太平洋諸国を丸め込んで中国を封じ込める。もう1つには脅威の世論の助けを借りて平和憲法を改正し、敗戦国のレッテルを剥がし、普通の国になることを企んでいる」と指摘した。
平和憲法の改正という日本政府の企みは、アジア太平洋外交戦略だけでなく、アフリカに対する策略にも現れている。
外交青書はアフリカを日本外交の重点的方向として発展させる方針を打ち出した。呂氏はこれについて「日本のアフリカ外交の真の最優先課題は対アフリカ関係の発展ではなく、アルジェリア人質事件の助けを借りて自衛隊に対する規制を緩和し、外国でのテロ対策の権利を持たせ、その中で武器使用制限を的確に緩和することにある」と疑問を呈した。
中国社会科学院日本研究所の王屏研究員は「アフリカは国連の議席の3割近くを占める大票田だ。日本がこのほど発表した包括的アフリカ支援計画は、実際には国連常任理事国入りの問題でアフリカ各国の支持を取り付け、普通の国への道を開くためのものだ」と指摘した。