しかし、米国からの「安心の言葉」はただではもらえない。ケリー長官が訪日する前日の12日、日米両政府は日本の環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉参加に向けた事前協議を終え、合意文書を発表した。これがケリー長官を歓迎するために日本政府から用意されたプレゼントであることは明らかだ。ケリー長官はそのお返しとして、講演で政府を代表して日本に賞賛と歓迎の意を表し、安倍晋三首相との会談では、日本のTPP交渉参加に向けた事前協議での合意を「非常にうれしく思う」と何度も述べ、日本の積極的な姿勢を支持する考えを示した。
ケリー長官の言う「積極的な姿勢」とは、日本側がTPP交渉参加に向けた事前協議で輸入車に課される課税を乗用車2.5%、トラック25%に据え置くことに同意したことを指す。米国は、自動車産業の規制緩和により日本車の輸入が激増することを懸念している。日本メディアは、日本側のこの大きな譲歩は自動車大国の米国にとって非常に良いことで、ケリー長官が喜ぶのも納得できると論じた。しかし、同様に自動車産業で経済と貿易を促進する日本は、これによって重大な経済的損失を被ることになるだろう。そのため、この合意は関税の早期撤廃を求めてきた日本の自動車企業を大いに落胆させ、日本自動車工業会の豊田章男会長は「非常に残念」と表明した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2013年4月16日