安倍首相から電話がかかってきた新人は一人や二人ではない。安倍首相は「携帯依存症」だという声まである。携帯が連日連夜新人を説得する最高の武器になっているからだ。自民党総裁ではあるが、町村派の会長ではない安倍首相がどうしてそこまでするのか?
その裏には理由がある。安倍首相の父親、安倍晋太郎氏は生前ずっと派閥の人数不足に苦労、奔走してきた。安倍首相は幼い頃のその印象が深く残っており、派閥勢力拡大にはこれまでも気を使ってきた。しかも長期政権を目指すには党内での強い後ろ盾が必要だ。そのため派閥勢力固めと拡充は安倍首相にとって何よりも重要なことだといえる。
町村派会長の町村信孝氏は身体の具合がよくなく、派閥運営にも影響しがちだ。首相であり、自民党総裁である安倍氏には十分な資源がある。そこで安倍氏の脳裏に「町村派」を「安倍派」に変身できないかという考えが浮かんだ。一連の目くらませによって、「町村派」ではすでに「安倍派」になったという認識で統一していると関係筋は明かす。そのため安倍氏が首相という地位を借りて町村派の勢力拡大に全力を注ぎ、地盤を固めているのもうなずける。
では菅義偉官房長官はなぜ「脱派閥は当然だ」と宣言したのか?これは安倍首相に釘を刺しているのだ。菅氏は安倍政権の「元締め」だが、丹羽・古賀派に属する。官房長官を担当しているのは安倍首相が組閣時に各派閥のバランスを考えたことに関係している。今回、党内で大いに地盤を拡充する安倍首相を見て、彼は内心焦り、「脱派閥は当然だ」という大旗を掲げたのだろう。
菅氏のほかに、安倍首相にとって党内での最大のライバル、石破茂氏がまとめる「さわらび会」は、「町村派」の88人を上回る党内の国会議員96人が集まり、副大臣のポストも虎視眈々と狙っている。また古賀派、伊吹派、山崎派、高村派、谷垣派、麻生派、二階派などどの派閥も大人しくはしていないだろう。自民党総裁の安倍氏が自らの派閥を立ち上げ、他の勢力とのバランスをとるのは並大抵ではない政治的芸術が必要となる。(日本新華僑報編集長 蒋豊)
「中国網日本語版(チャイナネット)」2013年10月21日