安倍晋三首相はこのほど、今年6月22日の通常国会終了後の臨時国会招集を決定した。安倍内閣の閣僚と自民党内の人事に、調整が加えられることになる。この情報が伝わると、政治の注目の焦点が「人事地震」に移った。永田町の陰の権力者たちは、新たな「人事大戦」を開始した。
安倍政権が2012年12月26日に再発足してから、すでに1年余りが経過する。強い勢いで暴走する「安倍丸」は、高い支持率により順風満帆を維持してきた。安倍首相の大叔父、戦後の連続在任期間が最長の佐藤栄作元首相は、「内閣改造は首相の力を弱め、衆議院解散で首相の権力が強化できる」と語った。安倍首相が権力を弱めるリスクを冒してまで内閣改造に取り組む背景には、深い理由がある。
内外の苦しい局面の打破。日本の政治の伝統によると、権力者による「政権剥奪」を避けるため、内閣人事改造はリストが確定されるまで絶対の機密情報とされている。ところが読売新聞は2月25日の記事の中で、この情報を発表した。たった数行の情報に過ぎなかったが、安倍政権が故意に情報を漏らしたと推測する声もある。大臣というポストを餌に、反対派の声を退けた嫌いがある。4月の消費増税により、安倍政権の支持率が急激に低下しているほか、安倍首相が主張を続けている原発再稼働も難航している。TPP交渉は成果を得ておらず、中韓との外交関係が冷え込んでいる。これらの安倍政権の障害物は、常に彼を転ばせる可能性がある。ゆえに安倍首相はこの時期に人事のカードを切り、人々の注意力を現政権の批判から内閣改造に移そうとした。これは安倍首相の「陽動作戦」と言わざるをえない。