南中国海の問題は本来、中国と南中国海周辺の国との南中国海の島や礁の主権と領海の線引きに関する係争である。当事国の双方が直接的な協議によって解決すべき問題であり、日本とは何の関係もない。日本が持ち出しているいわゆる「航行の自由」は根本的に問題とはならず、強引なこじつけに過ぎない。安倍首相が南中国海の問題を口実にし、一部の東南アジアの国と中国との関係をかき乱し、フィリピンなどのいわゆる海上安全対応能力の強化を援助していることは、実質的には、南中国海に混乱をもたらし、東南アジアの国の手を借りて中国を牽制しようとするものだ。
安倍首相の「積極的平和主義」は、「価値観外交」を積極的に振りかざし、「アジアの民主的安全保障ダイアモンド」戦略を構想し、「中国威脅論」をあちこちで積極的に振りまき、中国に対する「包囲網」の形成を試みてきた。さらには「アジア太平洋へのリバランス」という米国の戦略への協力にも尽力している。安倍首相は「積極的平和主義」の衣をはおりながらも、日本の軍国主義の復活や戦後の国際秩序への挑戦、平和憲法の制限の放棄、中日関係の破壊、地域の緊張局面の助長といった行動に走っている。安倍首相はこうした行動を取りつつ、中国を「仮想敵」とし、米国を「頼みの綱」としている。
安倍首相はひょっとすると、日本の政界と日米関係との隠された法則に気付いたのかもしれない。中国に近付き過ぎた日本の首相の任期は一般的に短く、米国と親しくする首相の任期は長い。この要領を知った安倍首相は、米国の先棒を担ぐことに必死で、中日関係や地域の平和には注意を払ってはいられないのかもしれない。
安倍首相はまもなく、シンガポールで開かれるシャングリラ会合で日本の首相として初の基調講演を行う。安倍首相がこの機会を捉え、その「積極的平和主義」の売り込みをはかるのは間違いない。アジアを混乱させる道をひた走るこの日本の首相が今度はどんな騒ぎを起こそうとするのか。中国としてはお手並み拝見といったところだ。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2014年5月29日