社民党は今月中旬、集団的自衛権の行使容認に反対するポスターを制作・発表した。このポスターは、自衛官が戦闘により命を失う可能性を暗示しており、家族の悲痛な心情を政治的な宣伝に利用していると批判された。また多くの国民は、ポスターが集団的自衛権の結果を反映していると考えている。
共同通信社は、「ポスターでは少年が悲しそうに路傍に腰を下ろし、『あの日から、パパは帰ってこなかった』、『今、集団的自衛権にNOを』と書かれている。このポスターは社民党の数人の若手地方議員が撮影し、写真の男の子は自衛官の子供と設定されている。ポスターは自衛官の家族の痛ましい心情を表現し、集団的自衛権の行使を容認した政府が自衛官の命を無視していることと、起こりうる戦争の問題を反映している」と報じた。
J-CASTニュースは、「社民党の集団的自衛権の行使容認に反対するポスターが今月16日に発表されると、ネット上で急速に拡散し、話題沸騰となった。一部の反対者は、ポスターが扇動的で気に入らないとしている。また、子供に政治家の考えを代弁させるやり方は不適切だ、婉曲的に考えを表現するのではなく直接言うべきとする声もある」と伝えた。共同通信社は、「元自衛官の佐藤氏はツイッターで、同ポスターは自衛官と家族の心情に配慮していないと指摘し、人権の重要性を主張する社民党が家族の悲痛な心情を利用するのかと批判した」と報じた。
社民党の吉田忠智党首は批判の声に対して、「ポスターの内容は刺激的だが、(集団的自衛権の行使容認後)自衛官が犠牲になる可能性は確実に高くなる」と述べた。ポスターを撮影した、愛知県江南市議会議員の山登志浩氏はブログの中で、「悲惨なことや残酷なことは考えたくもありませんが、それが『集団的自衛権』の行使によって『現実』になってしまうのです」と指摘した。社民党の別の議員は、同ポスターは自衛官と国民全体の命に関わる問題を提起していると述べた。朝日新聞は、「14日から15日にかけて国会で開かれた集中審議で、社民党などの野党から出された、海外での武力行使の機会が増えることにより自衛官の命が脅かされるという質問に対して、安倍首相は即答を避けた」と報じた。
多くの日本人も、ポスターの内容に賛同している。あるネットユーザーは、ポスターは集団的自衛権の行使容認が参戦と死を意味することを表現しており、分かりやすいと評価した。また一部の人は、ポスターに子供を登場させたのは政治的なミスだとし、「パパだけではなく、子供や兄弟や恋人もいる。自衛隊の人手が不足し、大量の徴兵が始まった場合、ポスターのシーンが現実味を帯びてくる」と指摘した。
日本国内では、安倍政権の集団的自衛権の行使容認に対する反発が強まっている。テレビ朝日が28日に発表した調査結果によると、政府の集団的自衛権の行使容認に関する閣議決定により、安倍内閣の支持率が45%に低下した。解釈改憲による集団的自衛権の行使容認を支持するかという設問の中で、「支持しない」が59%となり、明確に「支持する」と表明した回答者は28%のみとなった。集団的自衛権の行使が日本の安全に資するかという設問に対して、「そうは思わない」が57%に達した。テレビ朝日は、「多くの日本人が、集団的自衛権の行使容認について、依然として理解できないと表明している」と伝えた。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2014年7月29日