日本の農家と自動車メーカーが苦しい立場に
業界関係者は、TPPに加入すれば日本の農家と自動車メーカーが苦しい立場になると分析している。浜田氏は、この懸念も理解できると答えた。農協を含む日本の農業集団は、TPPに反対している。これは日本でコメや野菜の価格が極端に高く、米国、オーストラリア、欧州では割安になっているからだ。
コメの関税が「ゼロ」に設定されれば、米国のコメは日本の10分の1の価格で進出することになる。日本は自国の農家を保護するため、輸入米に対してほぼ100%の関税をかけている。この関税が撤廃されれば、安いコメ、野菜、肉、果物が日本に輸入されるが、日本の農家の競争力がなくなるため、恐るべき事態になる。
浜田氏は、「TPP加入を一つのチャンスとし、これまで保護されてきた日本の農業を、自由貿易の中で強くするべきだ。日本の未来はこれにかかっている。農業は第一次産業であるが、これを第二次産業の工業や第三次産業のサービス業と融合させれば、農業を独立させ、ITの手段が満ちた新たな分野にすることができる。植物以外の薬品を生産し、かつ観光業にサービスを提供できる。これはTPP加入によって、日本の農業が強化される理由だ」と主張した。