PL-12ミサイルのイメージ図
▽エンジンが近距離ミサイル開発の足手まといに
中距離空対空ミサイルに比べ、中国の近距離空対空ミサイルの開発速度は著しく遅れている。現在、中国が使用する戦闘機の多くは80年代の水準にあり、欧米の同じ兵器に大きく劣る。それを補うため、中国はこれまでロシア製R-73ミサイルを大量に輸入してきた。このミサイルは型が古いものの、中国空軍が装備している他の国産近距離ミサイルよりは役に立つ。
80年代、中国はイスラエルから「パイソン3」ミサイルを輸入し、それを複製することによって国産PL-8を開発した。PL-8は推進力がより強く、燃焼時間がより長いロケットエンジンをもち、探知機がより敏感になった。写真では、戦闘巡航を行うJ10とJ11B戦闘機にこのミサイルが吊り下げられている。さらにPL-8を土台にグレードアップしたPL-9は今のところ中国に導入されている最先端の近距離空対空ミサイルといえる。
中国側が公開した将来の近距離空対空ミサイルのうち、PL-10と呼ばれる赤外線誘導ミサイルが欧米の注目を集めている。このミサイルは、中国が南アフリカの技術を参考に開発したPL-ASRミサイルに続くもので、2011年に完成する。ロシアの学者によると、中国の近距離空対空ミサイル開発が遅れている重要な原因は小型エンジンの生産技術が欠けており、主に開発に取り組んでいる612研究所だけでは限界があり、超地平線空対空ミサイルの開発に力を入れ過ぎているためだという。