軍事マニアと軍の相互作用
中国では、まだ軍の研究開発品情報の公開システムが整備されていないため、中国が、軍事マニアによるJ20初飛行の「生中継」を利用して、非公式のルートで軍事的透明度を増すためのテストをしているのではないかとの西側諸国の憶測もある。ロンドン国際戦略研究所のゲーリー・リー氏は、次のように分析する。もし中国がJ20テスト飛行を正式な形で披露すれば、西側諸国に「武力威嚇」と受け取られるか、或いはある具体的一国に対するものだと非難される。逆に、このような非公式な形で国内の軍事情報を公開すれば、世界中に中国軍発展の最新状況を知らしめることができるばかりでなく、西側諸国の「中国軍事脅威論」に新しい口実を与えなくて済む。彼は言う。「中国のこのような控えめな対応は、世界的に見ても珍しいものだ。」海外の専門家も、自信を持つ大国が、ネット族や軍事マニアを通じて外界に軍事・国防動向を伝える必要はないとしている。米海軍分析センターの馮徳偉副総裁は、中国の軍事マニアによるJ20初飛行の「生中継」に触れた折、次のように語っている。「米国にも中国と同じような軍事マニアが数多くいる。これは世界的現象である。」
中国の軍事マニアが増加し、軍事機密の漏えい、ひいては国家の国防発展に影響するのではないかとの声もある。これに対し、「HK2000」は、現代のように情報伝播が発展した社会では、軍用機が上空へ飛んだ時点で、その基本外形の秘密を守ることは不可能だという。また、「木刀」は、軍事マニアは一つの文化的パワーの体現に過ぎず、国家の政策を左右するような力にはなりようがなく、またそうなるべきではないとしている。馮徳偉氏も同じ考えで、中国マニアが重要な軍事機密を漏洩するようなことはない、それは、そもそも漏洩に値するような軍事機密を知らないからだという。中国軍の方でも新型武器の研究開発にあたって、軍事マニアの意見に耳を貸すようなことはしない。彼によれば、中国軍隊の開放度や透明度を増加させる上で、軍事マニアと軍の相互作用はプラスに働くものであるという。馮徳偉氏は、中国解放軍はこれらの頭の切れる活発な軍事マニアの中から予備軍隊を募集すべきとまで述べている。
ゲーリー・リー氏によれば、中国の最も核心的な軍事情はやはり厳格にその秘密を守られているという。同時に、中国政府は公開すべき情報の公開などの点において、軍事マニアたちを最大限活用する方法についての研究を急速に進めている。また、軍事マニア達は、外国の国々が公開する軍事情報の収集にも役立つ。彼によれば、中国の軍事マニア達は、中国軍の部分的な問題についても建設的意見を提供できるという。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2011年2月16日