◇真の狙いは太平洋への出口ルート
2009年3月以降、中国海軍の艦艇は8度にわたり、沖縄本島と宮古島間の海域を通過し、西太平洋での軍事演習を行なっている。日本のマスコミが大いに報道する口実を見つけた。中国の艦艇がこの公海域を通過する度に、日本はその全過程を撮影している。
沖縄本島と宮古島間の海域の中ほどは公海域であり、中国の艦艇がここを通っても国際法に触れるものではないが、日本側の警戒は高まっている。ある退官自衛官は「公海域を通過するとは言え、中国側が事前にその連絡をしなかったため日本側の警戒を呼んでしまった」と述べている。米ジェームスタウン財団は「中国を包囲する第一列島線、第二列島線を突破する軍事力を持つようになった」と指摘する。
日本が釣魚島の領有権を自主的に放棄するはずがない。中国も東中国海から西太平洋へと抜ける近道となる沖縄本島-宮古島間のルートを手放したりしないだろう。同海域は空母も原子力潜水艦も通れるほど広く、そして深い。日本はその通過を邪魔することはできず、ただ、監視を強化するしか手はない。監視対象の範囲には、同海域の南北にある宮古島、沖縄本島だけでなく、南西の方角に位置する釣魚島も含まれる。産経新聞は「尖閣諸島の国有化により自衛隊の常駐が可能になる」としている。総面積がただ6.3平方キロメートルである釣魚島で、重装備部隊を配置配備などは不可能で、せいぜい警戒監視活動に用いられるだけであろう。
釣魚島問題を海洋権益の発展という角度から見ると、単なる5島3岩礁の領有権問題というだけでなく、また、漁業資源およびエネルギー・鉱物資源を巡る係争というだけでないことが分かる。実は、中国が太平洋に出る上で重要となるルートを得られるか否かといった戦略的な問題が存在している。日本が釣魚島を武装化すれば、中国海軍が太平洋に出るためのルートは狭くなり、しかも南北からの攻撃に遭いやすくなるのだ。(作者はアジア太平洋政治経済調査研究センターの研究員)
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2012年5月22日