毒性のある生薬の使用に関して、周氏は例を挙げて説明した。周氏が以前診た患者で、心臓の動きが悪い患者がおり、夜間の心拍数は1分あたり40回にも満たなかった。西洋医学であれば、一般的にはペースメーカーを使用するだろうが、外国製の機器は非常に高く、ペースメーカーを使用したくない患者もいる。周氏は患者に麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)を処方し、1ヶ月服用した結果、心拍数は上がり、病状も明らかな改善が見られたため、ペースメーカーを使用せずに済んだという。
「『薬とはいえ毒性もある』という言葉があるが、この患者に処方した漢方薬はどれも有毒物質が含まれている。しかし、どのように利用するかは人の手にかかっている。生薬そのものでは、使い方が正しければ、解毒する事ができ効果を発揮するが、使い方を誤れば、健康に害を及ぼすことになる」「毒性のある薬物を使用する際には、メリットとデメリットを天秤にかけて考える必要がある。メリットの方が大きければ使用し、そうでなければ使用しないことを勧める」と周氏は言う。
国家薬典委員会の専門家、銭忠直教授は「中国の漢方薬は医薬品の管理基準に従って管理している。栄養補助食品の管理基準に従って管理している国もある。管理基準が違えば、間違った方法で使用してしまうこともあり、一旦問題が発生すると、漢方薬が良くないという考え方になってしまう」「細辛には確かに毒性がある。しかし、有毒物質は主に茎と葉の部分に分布しており、根の部分では検出されない。中国の国家薬典(薬局方:医薬品規格基準書)の規定によれば、細辛は根の部分に限って使用が許可されている」と指摘する。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2012年4月18日