質問者は「支持者にいいところを見せたい」という狙いがあるらしい。持ち時間が少ないと愚痴を言いつつ(そんな時間も余分だが)、なかなか質問の核心に入らず、一場の自己顕示演説をこなして、その後首相・大臣などの《政治姿勢》を聞くことが多い。
さらに質問者は「とっちめた」という手柄を狙っているらしい。《のらりくらり》に対して、ますます高飛車になる。なかなか尻尾をつかまえられないから、姿勢が悪い、不誠実だ、能力がない、やる気がない等々へと突っ込みやすく、以て質疑は険悪、常に非友好的なやりとりに終始する。
論議に熱くなるのが悪いとばかりは言わぬが、熱くなると我を忘れ、何を聞こうとしていたのか忘れ----というような始末になりやすいのである。言葉が過激になればなるほど中身が薄くなる。
もともと日本人は友好的に議論を展開するのが下手である。いまだ下手だという定説は生きているみたいである。ソクラテス的対話論の勉強と練習が必要だと思う次第である。派手さを求めず、核心的論議をこそ願いたい。
奥井禮喜氏のプロフィール
有限会社ライフビジョン代表取締役
経営労働評論家
日本労働ペンクラブ会員
OnLineJournalライフビジョン発行人
週刊RO通信発行人
ライフビジョン学会顧問 ユニオンアカデミー事務局
1976年 三菱電機労組中執時代に日本初の人生設計セミナー開催。
1982年 独立し、人と組織の元気を開発するライフビジョン理論で、個人の老後問題から余暇、自由時間、政治、社会を論ずる。
1985年 月刊ライフビジョン(現在のOnLineJournalライフビジョン)創刊。
1993年 『連帯する自我』をキーワードにライフビジョン学会を組織。
2002年 大衆運動の理論的拠点としてのユニオンアカデミー旗上げ。
講演、執筆、コンサルテーション、インターネットを使った「メール通信教育」などでオピニオンを展開し、現在に至る。
高齢・障害者雇用支援機構の「エルダー」にコラム連載中。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2012年4月17日