日本の電機大手のソニーは2012年3月期(2011年4月~2012年3月)の連結業績が5000億円以上の赤字になる見通しで、新年度の経営改革にともない、社員1万人を削減すると発表した。ソニーだけでなく、パナソニック、シャープなど日本の家電大手はいずれも大規模な人員削減に着手している。ソニーの経営悪化は次の2点を示唆している。
◇企業:グローバル化競争にどう適応するか
ソニーが巨額の赤字を抱え、大規模な人員削減を余儀なくされた原因は、韓国企業との熾烈な競争によるテレビ事業の不振、東日本大地震やタイの洪水など外的要因、デジタルとネットワークに対応する上での戦略的失敗などが挙げられる。
地震や洪水などの外的要因はどうしようもないが、テレビ事業の不振やネットワーク戦略の失敗という点では、企業がイノベーションを加速し、人気の商品とサービスを世界の市場に送り出して見直す必要がある。
この点についてマスコミが鋭く分析しており、こうした厳しい現実を今後どう乗り切るかが重要になってくる。日本の電機メーカーは今後も特に国内での人員削減を余儀なくされる。
グローバル化において、従来の製造業の多くは生産コストや産業チェーンなどの角度から考え、生産力を中国などの新興国に移転している。その代表的な企業がアップルだ。ゼネラルモーターズ(GM)は最盛期に米国内で40万人の雇用を解決したが、今のアップルは4万3000人しか解決していない。
国内に残した生産基地でも人員削減を余儀なくされている。情報化と工場設備の大幅な改善により、昔ほど労働者の数が必要でなくなっている。
◇政府:国内の雇用をいかに維持するか