円安は5カ月近く続いており、2012年10月に1ドル77円だった円の対米ドル為替レートは13年3月には96円になった。日本の機関が行った円安の日本経済と国民生活への影響に関する調査から、自動車、電子、機械などの輸出企業の利益はやや増加したが、これらの産業は海外に生産基地を設立し、現地生産・販売を行うため、円安効果は現時点で限られているとわかる。
一方、円安は国民生活にマイナス効果をもたらしている。その傾向は燃料や電力などの生活に欠かせない製品において最も目立つ。統計によると、ガソリンはここ3カ月で7.4%上昇し1リットルあたり156円となり、暖房用燃料の価格は10%上昇した。また、家庭用燃料の価格も大幅に上昇。中でも、原料費調整制度を導入した液化石油ガス(LPG)は輸入価格の変動と大きく関わるため、急上昇となった。家庭用電力の価格上昇も目立つ。東京電力のほか、3社の電力会社が政府の関係機関に8~10%の値上げを申請した。東京電力は2012年10月に値上げしたばかりだが、4月以降に価格調整を再申請すると見られる。
円安は国民の食卓にも影響している。まずは小麦粉や大豆などの日本人の食生活に欠かせない食品においてで、その原料の90%弱を輸入に頼っているため、円安から受ける影響は非常に大きい。東京都内のパン、麺類、豆腐、納豆などの商品の値札も次々と張り替えられ、中には原価で販売するが量が減った商品もある。主に飼料に使われるトウモロコシはほとんどを輸入に頼っており、向こう数カ月、牛乳などの乳製品や牛肉などの肉製品の価格も次々と上昇すると見られる。