安倍政権の推進する円安による景気刺激は、災いを隣国に押し付ける政策だ。「金融戦争」を過度に誇張し、中国も金融戦争に参戦すべきだと提案するにいたっては、理性の欠けた感情的な態度であると言わざるを得ない。これは問題解決につながらないばかりか、むしろ情勢を複雑化・悪化させることになる。経済参考報が伝えた。
急激な円安を終えたばかりだが、より長いスパンで観察すると、円相場がその他の通貨と比べ大幅に低下していないことが分かる。2008年9月にリーマン・ショックが発生した当時、円の対米ドルレートは1ドル=105円ほどであった。1995年4月に円相場が1ドル=79.75円のピークに達してからは、1ドル=100円で推移を続け、2012年中頃にいたるまで円高が続いていた。2010年10月には1ドル=80円に達し、1995年4月の円高記録に迫った。2011年3月に東日本大震災が発生すると、円高が記録更新を続け、一時的に1ドル=76.25円に達した。その後は短期的な調整を経て、昨年11月上旬になると、1ドル=75-80円で小幅変動するようになった。主な国際通貨を見ると、リーマン・ショック以降、円は相場が上昇した数少ない通貨である。学術界(一部の市場機構を含む)はこの円高現象を理解できなかった。日本経済は金融危機の際に、欧米諸国より好調でなかったばかりか、むしろ不調であったからだ。
野田佳彦前首相は昨年11月に衆議院解散を宣言し、衆議院選挙が始まった。首相再就任を目指す安倍晋三氏は、日本経済の衰退の原因は円高だと重ねて強調した。安倍氏が新首相に就任すると、円相場が急激に低下した。今年3月12日には1ドル=96円となり、前年の相場から約28%低下し、衆議院選挙がスタートした当時と比較しても20%低下した。しかし円の対米ドルレートは、依然として金融危機前の水準を上回っている。多くの機構は、今年中に1ドル=100円の大台に乗ると予想している。しかし2013年2月に入ると、円相場が横ばいを呈するようになった。