なぜ中国を名指しにしたのだろうか。核保有国はいずれも各自の核兵器の能力を保持・強化している。特に米国の核弾頭数は数十年間の軍縮を経ているが、その信頼性と有効性はすでに大幅に割り引かれている。これは米国が「包括的核実験禁止条約」の採択を拒む主因でもある。その他の国もそうだ。中国だけを名指しにすれば、中国の核兵器発展に厄介事をこしらえ、米国を喜ばせることができる。公平性を鑑みるならば、日本はなぜ、核兵器を先に使用しないと宣言した中国を、国際社会が評価したことを際立たせなかったのだろうか。
核兵器の超大国の保有数が中国と同じ程度まで削減され、同じ品質に達した時に、中国は自ずと核軍縮を行う。中国は1960年代の時点で、核兵器の全面的かつ徹底的な消滅を最終目標とすると宣言していたからだ。中国は核兵器を使用しようとしているのではなく、核兵器を発展させるのは、大国の核の脅威を打ち破るためだ。ゆえに中国は核兵器を先に使用しないと最も早く宣言した、唯一の国である。
今回の広島宣言の発表から、新型大国関係の構築の重要性と必要性を見て取れる。大国間で十分に意思疎通し、相互理解と信頼を深め、相手の核心的な利益を尊重し、協調・協力できれば、右翼や反動勢力の悪企みが実現することはない。(筆者:翟徳泉 中国軍控・裁軍協会副秘書長、研究員)
「中国網日本語版(チャイナネット)」2014年4月15日