中国社会科学院日本研究所 王 偉
戦後、日本は社会・経済の発展とともに高齢化が進み続け、2011年10月時点で全人口に占める65歳以上の割合は23.3%に達した。現在、日本は世界の先進国でも最も高齢者人口の比率が高い国である。この高齢化に対応するために、日本はかなり整備された年金制度を確立している。一連の措置の中には中国で年金制度を整備、確立するために、参考にする価値があり、手本にする意義があるものがある。
第一、国の法律を基礎として健全な年金保険制度を確立
日本は、早くも1959年に「国民年金法」を制定、条件を満たす国民を強制的に国民年金制度に加入させ、老後の生活にある程度の経済的な保障を与えた。老後保障に直接関係がある法律には、この他に1954年に公布された「厚生年金保険法」、1963年公布の「老人福祉法」、1982年公布の「高齢者の医療の確保に関する法律」、2000年に実施開始された「介護保険法」などがある。法律は、日本の年金制度を確立し、整備して発展させるための基礎であり、保障である。日本では年金制度に関する制度や措置ひとつひとつが出来るときに、厳格に法律に準拠し、手続きを踏んでいる。日本の戦後の年金制度の形成と発展のプロセスは、関連法規の整備と充実の過程でもある。
第二、基礎年金の設立で一貫した公的年金制度を確立。
日本の現行年金制度は3重構造になっている。第1層は国家が直接管理運用する「国民年金」である。国民年金は自営業者、学生、無職、会社従業員、公務員とその配偶者を対象としている。強制力があり、日本国内に居住する満20歳から59歳までの国民は加入が原則だ。第2層は国が管理運営している「厚生年金」と「共済年金」だ。対象者は会社従業員、公務員などである。第3層は企業が自主管理運営する「企業年金」と「個人年金」である。中でも第1層と第2層は公共年金に属する。特に重要なのは第1層の「国民年金」で、これは日本において土台となる年金であり、別名を「基礎年金」という。その対象はおよそ日本で年齢条件に該当するすべての人を網羅している。制度的には、国民年金は年金としての網羅範囲が最大で、基礎年金として全国民をカバーしている。日本に居住している人は25年間(あるいは360カ月)保険料を払えば、65歳になったときに基礎年金を受け取る資格が得られる。40年間(あるいは480カ月)保険料を払えば、基礎年金満額を受け取る資格を得られることになる。