中国にとって、釣魚島とミャンマーの意義は根本的に異なっている。釣魚島には中国の主権尊厳がかかり、ミャンマーには中国の成敗がかかっている。米国と日本の強力な干渉により、ミャンマーの政局にはすでに大きな変化が起こっている。ミャンマー軍によるカチン州に対する大規模な進攻は必然的なものだった。ミャンマーはすでに中日米の戦略的駆け引きの舞台となっている。19世紀、20世紀の抗日戦争の経験と教訓を踏まえ、中国は21世紀の抗日戦略を練る必要がある。
戦略重点を東にシフトし、中国を包囲するという米国の戦略が明らかになるにしたがい、一部の中国人は米国に対する幻想を切り捨てたものの、米国という主要なライバルを孤立させるため、日本を抱きこんで日米関係を破壊すべきという見方も浮上している。これはもう一つの幻想にすぎない。日本は、中米と同程度の政治的地位の獲得を国家戦略とし、こうした考えのもとでは今後長期において、日本にとって米国の価値が中国を大きく上回ることははっきりしている。日本が中国に接近することはありえず、米国に合わせた行動をとるに違いない。
中国の戦略企画部門は、中日の全面的な駆け引きという視点から、経済と軍事の二つの分野で、ミャンマーと釣魚島の二つの地域における戦略行動を差配すべきだろう。ミャンマーでは、日本のやり方を参考に中国企業の地元で正当な経営を国力でサポートし、釣魚島問題においては、主導権をすみやかに奪回し日本を防衛側にまわし、対応に追われる状態にすべきだ。米国がシリアに軍事重点をおき、日本に出すぎた行動を許さない今こそ、中国にとって好機といえる。(筆者 海洋安全・協力研究院の戴旭院長)
「中国網日本語版(チャイナネット)」2013年1月16日