某日本メディアはこのほど、「中国都市部の大気汚染に続き、鳥インフルエンザのヒト感染が発生した。これにより在中国日系企業の、中国に滞在し続けるという考えに揺らぎが生じている」とし、中国に進出した日本企業の懸念を伝えた。もし今年、北京の吸引力が低下した場合、その元凶は大気汚染に違いない。「大気汚染による世界最後の日により、外国人が北京を離れている」といった報道が、欧米諸国のメディアによって伝えられている。しかし実際に大気汚染が原因で北京、さらには中国を離れた外国人の数は、統計をとることが困難だ。本紙の調査によると、大気汚染により北京を離れた日本の駐中国外交官は存在しない。毎年約37万人の英国人が中国を訪問し、中国には3万社以上の日本企業が進出している。この二つのデータだけでも、中国がかつて誇っていた対外的な魅力を知ることができる。しかしPM2.5のデータが一つの課題になっていることは否定できない。外国人、さらには一部の中国人が大気汚染により中国を離れるか移民するという現象は、確かに存在している。北京で宿泊する外国人観光客数が、前年同期比で4割弱減少したというデータもある。中国政府・地方政府は、これを重視せざるを得なくなっている。環球時報が伝えた。
◆某外資系企業、北京駐在員に15万元の「危険手当」
中国気象局が発表したデータによると、今年初めの100日間のうち、北京市ではスモッグが計46日発生し、過去60年間で最多となった。中国の環境NGO「自然之友」が4月に発表した「中国環境発展報告書(2013)」は、全国の省都・直轄市の2012年度大気汚染状況に基づきランキングを作成した。その結果、蘭州市が最下位となり、北京が後ろから2番目となった。成都市や天津市などの都市でも、大規模なインフラ整備や工業化の加速により、大気品質の低下が深刻だ。同報告書の執筆者は、「外国人が北京を離れ清潔な空気を求めているという報道も一理ある」と指摘した。
本紙は北京市在住の外国人を取材した。彼らは大気汚染の進行により、自身と家族の健康が著しく損なわれることを懸念している。在中国日本国大使館の環境専門家である岡崎雄太1等書記官は夫人と二人の息子を伴い北京で生活しており、「家に空気清浄機を取り付けたが、大気汚染の問題を考慮し、外出を控えることもある。中国では、多くの子供が通院している。一人の父親として心が痛む」と述べた。
英人材紹介会社Antal Internationalの中国法人でコンサルティングを担当するプライスさんは、「多くの外国人が中国の2・3線都市での勤務を希望しているが、環境がその原因の一つになっている。過去4-5ヵ月に渡り、一部の外国人は雇用主と契約更新の交渉をする際に、北京での勤務継続の前提として危険手当を求めている。この手当は企業が従業員を、アンゴラやナイジェリアといった政治情勢が不安定で、人身事故が生じる可能性のある地区に派遣する際に支給するものだ。一般的な危険手当は、給与全体の10分の1だ。某外資系企業が北京の駐在員に支給する危険手当は、毎年15万元(約240万円)に達する」と説明した。