日本人の不安を利用する安倍氏
公平に言って、一部の日本人、特に保守的な日本人がこのような気持ちを持つのは理解できる。しかし安倍首相はこの心理を巧みに利用し、やり過ぎになっている。安倍首相はこうして、中国ばかりか日本を損ねている。中国は安倍首相を放任できなくなった。
安倍首相が本心から「靖国参拝を停止」と約束し、「釣魚島の係争の存在」を認めることはありえない。この約束と承認の前提がなければ、安倍首相と正式に会談したところで、少しも中国の利益にならない。安倍首相にとっては、少しの代価で多くの利益を得て、自分の顔を立て政治資本を得る良い商売である。
会談の内容がどうあれ、安倍首相は国内外に「私は誰よりも中国に強硬な態度をとれるが、中国から認められ尊重される政治家だ」とPRできる。そうすれば、安倍首相はこれまでの路線を大胆に歩み続け、国内での人気を高めることができる。これは安倍首相が、いかなる承諾も譲歩もしなかったからだ。その後に中国が遺憾の意を表したとしても、安倍首相は気にする必要はない。安倍首相が欲しているのは会談の結果ではなく、会談そのものであり、「私が中国を怒らせることをしても、中国の指導者は会わざるをえない」と思ってることがわかる。
中国と日本は永遠の隣国であり、じっくり議論する必要がある。それならば、何年、もしくは十何年の紆余曲折を経るかは気にする必要がない。安倍首相を放っておけば、中国に厄介事をこしらえようとする人間にわざわざプレゼントをするようなもので、安倍首相のやり方を真似する政治家がその後も登場するだろう。こうなれば日本が中国に適応する時間が延び、中国にとっても日本にとっても不利だ。
中日関係の大局は、中日両国、ひいては世界の歴史の発展がもたらした結果である。両国首脳の個人的な関係は、一定の潤滑油の効果を発揮するが、大勢を変えることはできない。中国が過去の歴史の地位を取り戻すのは、個人的な願いではなく、歴史の流れである。一部の日本人がこれに慣れないのは理解できるが、中国には彼らに配慮する義務はなく、迎合する必要もない。(筆者:宋文洲 政治・経済コメンテーター、ソフトブレーン株式会社創業者。日本のテレビ番組にコメンテーターとして出演し、日本の時事や企業経営について論じている)
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2014年9月28日