私の出会った日本人⑫山田洋次:温かい眼差しとともに

私の出会った日本人⑫山田洋次:温かい眼差しとともに。 北京映画資料館でのトークショーに中国の李纓監督らと登場した山田洋次監督、その髪には白いものが目立っていたが、映画人生について語るその姿は80歳近くとはとても思えない若々しさで、話も聴衆を魅了することしきりであった…

タグ: 映画祭 山田洋次 監督 寅次郎 おとうと

発信時間: 2011-06-20 14:01:41 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

2010年制作の「おとうと」は、至る所で問題を引き起こしうだつが上がらないまま年齢だけ重ねてきた主人公を描いた作品である。義兄の13回忌で酔っぱらい大暴れした「弟」鉄郎(笑福亭鶴瓶)は長い間音信不通だったにも関わらず、姪である小春(蒼井優)の結婚式当日に突然現れる。小春の父の13回忌でどんなことがあったか詳しく描かれてはいないが、結婚式でまたしても酔って大暴れしている様子から観客は過去のシーンにも思いを馳せることができる。鉄郎の自慢は自分が小春の名付け親であるということだ。それは義兄が鉄郎の姉である妻の吟子(吉永小百合)に「鉄郎はこれまで人に褒められるようなことはやってきてないだろう。ここでひとつ花を持たせるようなことをさせてやろうじゃないか」と提案したからだった。鉄郎は亡くなる直前にそのことを懐かしく思い出す。彼はその破天荒な生き方で家族から見放されてしまった訳では決してなかった。

山田監督はこの作品でも所謂ダメ人間に対する理解を示していると同時に、そんな人々を受け止められるだけの寛容性を社会に求めている。

山田洋次監督は、その映画人生50年において常に社会の片隅に生きる人々に思いを寄せ、寛容性の意味や大切さを伝えてきた。それは決して簡単なことではない。改革開放以降中国の映画監督は数字の上では大きく増えているが、山田監督のように、ヒーローとは対極にいるような人物を描いた監督は数えるほどであろう。そのうち海外でも認められた作品となれば一体どの作品があてはまるだろうか。

続々と制作されているのは巨額の資金力をバックに、古代中国の歴史の一幕を壮大なスケールで撮影し、暗黒・狡猾・カンフー・インモラルを描いた中国時代劇である。でもそうした作品は観客の心に何かを残すことができるのだろうか。馮小剛、陳凱歌そして張芸謀ら中国著名監督の昨今の作品には、山田洋次作品に溢れているような人情味や寛容性を期待しない方がいいのかもしれない。

「Billion Beats 日本人が見つけた13億分の1の中国人ストーリー」より

コラムニスト・陳言 「日本スケッチ」

「中国網日本語版(チャイナネット)」 2011年6月20日

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