煽動者は社会不安定、人々の不満・不安心理をくすぐるに巧である。なによりもわが国が直面している大問題というものは戦後60余年に積み重ねられたのであり、一朝一夕に解決できるようなものではない。
さて、大変な時代だというが、大変でない時代のほうが圧倒的に少ない。時代はいつも大変なものである。そのなかで、わが国民の元気のなさが事実だとして、それはいったいどこから生じているのか考えてみよう。
わが国は民主主義国家である。民主主義とは、基本的人権を基盤として、各人が自由に生きられる社会の謂いである。とすれば自由を認識していれば必然的に元気である。自由ではないから非元気なのだ。
自由とは、(権力による)拘束からの解放は当たり前である。それだけで自由と考えたら間違いだ。本当の自由とは、人々が自分のgenius(天才)を発揮しようと考え努力する状態である。それがないからapathyなのであって、非元気なのであって、扇動者が乱舞しやすい事情なのである。
奥井禮喜氏のプロフィール
有限会社ライフビジョン代表取締役
経営労働評論家
日本労働ペンクラブ会員
OnLineJournalライフビジョン発行人
週刊RO通信発行人
ライフビジョン学会顧問 ユニオンアカデミー事務局
1976年 三菱電機労組中執時代に日本初の人生設計セミナー開催。
1982年 独立し、人と組織の元気を開発するライフビジョン理論で、個人の老後問題から余暇、自由時間、政治、社会を論ずる。
1985年 月刊ライフビジョン(現在のOnLineJournalライフビジョン)創刊。
1993年 『連帯する自我』をキーワードにライフビジョン学会を組織。
2002年 大衆運動の理論的拠点としてのユニオンアカデミー旗上げ。
講演、執筆、コンサルテーション、インターネットを使った「メール通信教育」などでオピニオンを展開し、現在に至る。
高齢・障害者雇用支援機構の「エルダー」にコラム連載中。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2012年5月7日