今年は中日国交正常化40周年を迎えたが、年初より両国関係には不穏な空気が満ちている。名古屋市の河村たかし市長が2月、南京大虐殺に対して否定的な発言をすると、反中の代表人物とされる東京都の石原慎太郎都知事はワシントン訪問期間中、東京都が釣魚島(日本名・尖閣諸島)および付属島嶼を買い取る意向があると表明した。
石原氏の同構想に対して、日本の各メディアや政界関係者から賞賛の声があがる一方で、難色を示す冷静な関係者もいる。だが同構想の支持者も、石原氏の狙いが政治資金の獲得にあり、中日関係の大局を顧みないと指摘する論客も、下記の点では意見を一致させている。
1. 釣魚島は日本固有の領土である。
2. 国家(政府)が買い取るならば反対はしない。
石原氏を「無責任」として非難する『朝日新聞』は社説を締めくくり、「藤村官房長官は記者会見で、国による買い取りの可能性を否定しなかった。東京都が買い取るよりも、外交事務を担当する政府が所有する方が、理にかなっている」と立場を明確にした。
国益を最優先する日本の主要メディアは、賛成派と反対派の論争から、「国が買い取り、国有化する」という双方にとっての妥協点を見出した。
上述した動向について、石原氏の構想に反対していた横浜市の林文子市長も、石原氏が国の行動を促したとして、「偉大だ」と賞賛した。石原氏の行動は、予想していた効果をすでに手にしたと言える。
国民の領土意識を刺激するため、石原氏のパートナーで元作家の猪瀬直樹副知事は、釣魚島買い取りの基金として寄付を募ることもあり得ると表明した。この動きは、中日関係のさらなる複雑化を招くだろう。
9月の中日国交正常化40周年記念式典まであと数カ月となった現在、両国関係の好転が疑問視されている。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2012年6月19日