第二に、米国の牽制は、武力衝突を抑える重要な要素となっている。パネッタ米国防長官は、米戦略の再均衡(リバランス)とは、中国をねらったものではなく、中国の軍隊と信頼関係を築き、誤解を解くためのものであるとの文章を発表している。これによると、「再均衡」には4つの柱があり、その最初の柱は、「アジア太平洋の平和と安定を維持すること」とされる。オバマ大統領は1月6日、退任するパネッタ氏の後任として、中日関係を重視するヘーゲル氏を指名したが、ヘーゲル氏について「外交問題に対する考え方は基本的に(オバマ氏と)一致している」と述べている。
最後に、ロシアも、武力衝突を抑える無視できない要因となっている。日本人軍事ジャーナリストの鍛冶俊樹氏は05年、中ロ合同軍事演習「平和の使命2005」を背景として、「復活しつつある中ソ同盟に警戒せよ」との内容の文章を発表し、中ロが協力すれば米国にとってこれに対抗するのが難しくなるだけではなく、日米同盟も大きく動揺することになるだろうと指摘している。中ロ両国は昨年12月6日、「首相第17回定期会合共同コミュニケ」に調印し、今年1月9日には、今年下半期に予定されていた「中ロ第8回戦略安全協議」を北京で開催した。ロシアが中日双方に対して、平和的な方法で紛争を解決するよう呼びかけたのが本心であるにせよ、建前であるにせよ、中ロの全面的な戦略協力関係の構築は、戦争発生の牽制に対して間違いなく積極的な意味を持っている。(復旦大学歴史学系教授、中華日本学会常務理事 馮瑋)
「中国網日本語版(チャイナネット)」2013年1月17日