年初以来、地政学的リスクが相次ぐ中、日米欧の実体経済の回復の足並みに乱れが生じている。「長期停滞論」が再び活発に議論されており、資本主義国の普遍的な症状を反映する「21世紀の資本論」が脚光を浴びている。
長期停滞論は少子高齢化の人口学の面から、先進国の投資収益率の低下の構造的な問題を深く分析した。21世紀の資本論は、制度面から資本利益率を求める資本主義の普遍的な弊害を明らかにした。危機後の時代に着目したこの2つの理論は、実質金利の歴史的な低下を背景とし、日米欧の量的緩和策が「仮想資産価格のリバランス」を実現するかもしれないが、「仮想・実体経済のリバランス」を実現できないことを反映している。これはバブルをいたずらに膨らませ、バブル崩壊の同じ轍を踏むことになり、世界経済の回復と成長を導く条件を持たない。日本では、構造的・制度的な問題が深刻化している。
少子高齢化により、人口構造が歴史的な転換点に達している。日本は、人口の空洞化に直面している。「人口動態」は一国の未来を知る上で最も重要な要素だ。安倍政権は人口の構造的な減少に陥っており、1億人維持がこの時代の課題となっている。人口構造の変化は社会保険や医療保険の税負担増をもたらし、高齢化は技術革新の鈍化、社会の活力低下を引き起こしている。特に消費者の縮小により、経済成長の基礎が揺らいでいる。
財政の空洞化は、日本の国としての国内外の力の空洞化を反映している。安倍首相は就任後、大規模な量的緩和策、財政拡張を実施した。中央銀行は「公債通貨化」の役割を演じ、政府債を直接購入し、160兆円超の長期国債を溜め込んだ。これにより中央銀行の資産が、名目GDPの約半分まで膨張し、先進国中最高水準となった。これは国債市場の歪み、機能の退化の他に、日本の長期金利の急速な低下を引き起こした。投資の面から見ると、長期金利の低下は実体経済への投資率の低下を意味する。量的緩和策によって放出された資金は仮想資産を追い、政策的にバブルを形成した。連邦準備制度理事会は量的緩和策の規模を縮小しており、日銀は「競争からの撤退」に直面している。連邦準備制度理事会より足が遅ければ、日銀は米国のしんがりを務めることになり、予期できないリスクが生じる。米国より先に撤退すれば、国債を投げ売りすることになり、日本の財政に打撃を与え、国家的なリスクを生む。