具体的には3つの内容を統合させたものだという。一つ目は都市開発で、エコシティの建設や水循環システム、建設機械やエレベータなどの事業が含まれている。二つ目はIT系統で、クラウドコンピューティング、コンサル、データセンター事業など。そして三つ目は電力系統で、資源エネルギーやスマートグリッド関連だ。
「日立の総合的な力を最大限に活用することで、社会全体に関わる大きな新事業を展開することができると信じています」
野本さんははっきりした口調でそう言った。
野本さんがスマートシティを語る度、それが都市建設にあらゆるもの全てが含まれるひとつの大きなコンセプトであることが感じ取れた。当初私は、日立が自社の力を集結させ、新しいコンセプトのもとマーケットを開拓するのだと思っていたが、繰り返し彼の言葉を耳にするうちに、そのコンセプトは決して日立独自で進めるのではなく、他の企業と力を合わせて共に実現するものだということが分かった。彼の視線の先にあるのは日立だけでなく、日系企業はもちろん中国企業や外国企業と協力している姿だ。
「日立は天津と大連、そして広州でスマートシティ建設に参画しています」
野本さんは続けた。
天津エコシティ計画で日立は、三井不動産やシンガポールの企業、そして多くの中国企業と協力しながらそのスマートシティ計画をリードしている。これまでにない国際的な協力体制のもと、スマートシティ開発の商業化モデルが出来上がりつつあるのだ。
「我々は海外での成功経験を日本に持ち帰りたいと思っています。東日本大震災の復興計画の一部としてスマートシティのコンセプトが導入されるでしょう。その時日立はスマートシティ建設の専門家を日本に派遣し、中国での経験を最大限に生かすことで復興を推し進めたいと考えています」
野本さんは大きなビジョンを兼ね備えたスマートシティというコンセプトの実現、そしてそのコンセプトが幅広く受け入れられることを強く確信している。
「Billion Beats 日本人が見つけた13億分の1の中国人ストーリー」より
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2011年10月17日