多くのNPO・NGOが被災地救援活動に参加したのも日中変わらない光景なら、そこで目の当たりにした苦しみ——家族や家を失った被災者やその後の就職難——もまた日中共通のものだった。
「救援活動が一段落した後は、被災者に対する心理的配慮の重要度が増してきます」
四川の状況を見てきた山名さんは、震災後間もなく1年を迎える東日本の各地にもこうした配慮が重要になってきていると感じた。
山名さんは四川で中日両国の大きな違いも目にした。
「四川は綿陽市(四川大地震で最も大きな被害があったところ)を全く新しく作り直したのです」
山名さんは驚きを隠せない様子で言った。日本だと同じようにはいかないことだろう。
日本政府が津波の被害を減らすために更に高い防潮堤を築いたり、新しい場所に居住区を作ったり、といった話はまだほとんど耳にしていない。
「日本は被災者に対する心理的なサポートが比較的多いと思います」
山名さんは続けた。物質的に豊かな日本、援助物資よりも被災者に対する関心や思いやりがより必要とされる場合が多々ある。そうした日本の経験も今回山名さんのメンバーを通して中国のボランティアたちに伝えることができたのだった。
山名さんは自身が発見した中日両国の救援活動における共通点と相違点、そして数々の情報交換を通じて、今後も多くの分野で市民レベルの中日交流を押し進めなければならないと感じた。国際交流センターが組織した救援ボランティアの中日交流は今回が第一回だが、これからも他の分野での交流や、更に掘り下げた交流が期待できるだろう。
「Billion Beats 日本人が見つけた13億分の1の中国人ストーリー」より
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2012年2月23日