1994年政党助成法が開始し、政党に対して国費から一定の交付金が支給される。それが奏功したのか、政治家の倫理が向上したかのかはわからぬが、カネで仲間を糾合するような話が聞こえない。紳士は、「田中角栄なんて無茶だったけれど、政治がおおいに動いていた」とまたまた懐かしまれる。汚職は一種の《必要経費》なのでありましょうや。
政治家とは政治に直接携わる人であり、政治のプロ、職業政治家の意義である。ただし厳密にいえば、大衆民主主義においては、国民全員がそれなりの政治家である。これが建前である。
職業政治家は、政治によって生活の糧を獲得する。昔は名望政治家なる存在があった。政治によって生計を維持するのではなく、まさに名望・名誉のために政治家たるというのであるが、まあこれは極めて少なかった。
いずれによ、汚職するために政治家を志す人はいないであろう。自分が実現したい政治のために手段を選ばずで、その結果汚職に塗れる。鼠小僧が義賊として庶民に愛された気風がちょろりと見える。
私が嫌いな政治家は、「国家・国民のために」、「粉骨砕身」、「この命を懸けて」と吠える輩である。誇大広告、インチキ、分不相応である。国家・国民のために政治をやろうとする人が、政局騒動に現を抜かすわけがない。
骨を砕き身を粉にして当たっている《事》が国民国家天下を対象にしているように見えないのは返す返す遺憾である。陰徳を積んでおられる方に対しては失礼をお詫びするが、大概は隠《得》だとみられているから仕方がない。