標高 |
広西チワン族自治区は雲南・貴州高原の南東部の端に位置し、地勢は北西が高くて南東が低く、標高は最高2141bである。 |
水資源 |
(一) 水資源の総量
広西チワン族自治区は、中国では水資源が豊かな省・自治区である。水資源は主に河川の地表を流れる雨水と域内に流れ込む河川によるものであり、河川を流れる水は地表水と地下水の排出量をも含み、河川を流れる水と地下水の補填量の間にはお互いに転化しあう関係がある。同自治区における長年の平均水資源総量は1880億立方メートルで、全国水資源総量の7.12%を占め、全国で5位。域内に流れ込む水量は716億7000万立方メートルで、1996年における同自治区の一人当たり水資源保有量は4138立方メートル、一ヘクタール当たり7.2立方メートルで、水資源の開発・利用の面で、河川を流れる水は23%、地下水は9.2%である。
(二)水資源の分布
同自治区全域の河川流域には面積50平方キロ以上の雨水が流れ込む河川が合わせて937本もあり、総面積は236万4275平方キロで、そのうち、面積が1000平方キロ以上の雨水が流れ込む河川が69本もある。主な河川は珠江流域の西江水系、長江流域の洞庭湖水系、南部の海に流れ込む地域、百都河・紅河水系にそれぞれ属している。
1. 西江水系
西江流域の主な河川は南盤江、紅水河、黔潯江、郁江、柳江、桂江、賀江で、西江流域総面積は30万4900平方キロで、そのうち、同自治区域内の雨水などが流れ込む面積は合わせて20万2400平方キロ、流域全域の雨水などが流れ込む面積の85.7%を占め、水資源総量は同自治区水資源総量の85.5%を占めている。
南盤江は紅水河の主な源であり、珠江流域西江水系の主流の源である。長さは936キロ、同自治区を流れる流域の面積は4162平方キロ、長年らいの平均水資源総量は19億4300万立方メートル、一平方キロ当たり46万7000立方メートルの水量ということになる。
紅水河は蔗香から同自治区の楽業、天峨、南丹、来賓などの県を経て、象州県石竜鎮で柳江に合流し、長さは659キロ、流域の水が流れ込む面積は4万3790平方キロ、長年らいの平均水資源総量は324億9900万立方メートル、一平方キロ当たりの水面面積は74万6700立方メートル。
黔潯江 黔潯江は象州県石竜鎮の三江口から、武宣、桂平経由して梧州で桂江に合流し、長さは172キロ、あちこちの水が流れ込む面積は2万1680平方キロである。一平方キロ当たりの水面面積は67万9000立方メートルで、長年らいの平均水資源総量は147億3000万立方メートル。
郁江は雲南省広南県の楊梅山を源とし、西江流域の最大の支流である。さまざまな水が流れ込む流域面積は9万800平方キロ、(ベトナム領内を流れる面積を含む)、そのうち、中国領内を流れる流域面積は7万9207平方キロで、同自治区域内における流域面積は6万8125平方キロである。郁江流域の水資源総量は371億立方メートルで、一平方キロ当たりの水面面積は54万4600立方メートルである。
柳江は貴州省独山県南部里納の九十九灘を源とし、上流は都柳江と称され、珠江流域西江水系の二番目の支流である。柳江は貴州、湖南、広西チワン族自治区など三つの省・自治区にまたがるものであり、流域面積は5万8270平方キロ、水資源総量は373
億9200万立方メートル、同自治区に流れ込む水量は87億4000万立方メートル、一平方キロ当たり水量は89万2300立方メートル、同自治区における水資源の豊かな河川である。
桂賀江 桂江と賀江は広西チワン族自治区東部にあり、さまざまな水が流れ込む流域面積は2万6927平方キロ、水資源総量は274億7000万立方メートルである。そのうち、桂江は182億7000万立方メートル、賀江は92億立方メートル。一平方キロ当たりの水量は102万立方メートル、同自治区における水資源が豊かな地域の一つで、降雨期が訪れるのは開始は他の地域より早い。
2. 長江水系
湘江と夫夷水は広西チワン族自治区北東部にあり、湖南省の洞庭湖に流れ込んで長江に合流する。広西チワン族自治区における流域面積は8283平方キロで、同自治区面積の3.5%を占め、水資源総量は93億600万立方メートル。
3. 広西チワン族自治区南部沿海地域の河川
広西チワン族自治区南部沿海における主な河川としては南流江、大風江、欽江、防城河、茅嶺江、北侖河がある。最大の河川は南流江である。次は欽江、防城河で、北侖河は国外に流れ込む河川である。沿海地域のいくつかの川が北部湾海域に直接流れ込む流域面積は2万3230平方キロ、同自治区総面積の10.2%を占める。長年らいの平均水資源は273億6000万立方メートル
(百都河と粤西河の源を含む)。同地域は水利資源に恵まれ、水資源の開発・利用度が高い。降雨の期間と地域の分布がアンバランスで、降雨は5月〜9月に集中し、年間降雨量の約80%を占め、冬と春は、一部の小さな河川は水枯れとなり、沿海地域の工業、生活用水が不足し、経済建設の発展の制約となっている。
(三)水エネルギーの資源
同自治区における水エネルギーの理論的蓄積量は1752万キロワット、全国の水力資源総量の2.6%を占め、全国で8位で、開発可能な発電容量は1744万KWに達する。水力資源は主に紅水河、黔潯江、郁江、柳江と桂江の主流に分布し、開発・利用可能な発電容量の85.9%を占め、そのうち紅水河の主流は発電容量1334万KWを開発することができ、開発可能な水力資源の71.3%を占める。広西チワン族自治区における開発可能な大中型水力発電所の発電容量は1万5119KWである。
(四)水資源利用の現状と展望
数十年にわたる努力を経て、同自治区は貯水プロジェクト、導水プロジェクト、スプリンクラー灌漑プロジェクト、河川堤防プロジェクト、水土保持、水力発電プロジェクトなどの種類のよくそろったさまざまな水利施設29万余カ所を建設し、そのうち、大中小型ダムが4439カ所、導水プロジェクトが13万6499カ所もあり、一定の規模の洪水防止、灌漑、水土流失の整備、山間地帯の飲用水資源の総合的利用システムが一応備わることになった。1995年の統計データによると、有効灌漑面積は147万2100ヘクタールで、実際灌漑面積は122万1700ヘクタール、実際供水量は223億7200万立方メートルで、同自治区全体の水資源利用・開発率は23%に達している。
経済の発展と人びとの生活レベルの向上にともなって、必要とされる水資源の供給が日増しに逼迫することになり、河川の水資源の汚染が日増しにゆゆしくなっているため、既存の水資源プロジェクトを上手に管理するほか、引き続きいくつかの水資源プロジェクトを建設し、洪水を防止し、災害を減らすとともに、水の供給と利用の需要を解決しなければならない。水利部門の予測によると、一般年度
(頻度は75%)における同自治区の水需要量は414億立方メートル、給水総量は414t億立方メートルである。2010年における水需要量は595億立方メートル、給水総量は505億立方メートル。頻度が95%時である場合、2000年における同自治区の水需要量は458億立方メートルで、総給水量は387億立方メートルとなり、2010年における水需要量は607億立方メートル、総給水量は448億立方メートルとなる。予測によると、需要と供給の矛盾が際立つようになるため、数多くの多目的総合利用の大中型水資源調節プロジェクトを建設しなければならず、これは同自治区の豊かな水資源を生かすとともに、同自治区の経済発展の需要と水資源の開発・利用の目標でもある。 |
観光資源 |
(一) 自然の景観
1. カースト地形景観
広西チワン族自治区のカースト地形は完ぺきな熱帯カルスト地形の代表的なものである。桂林、陽朔一帯に点在している石灰岩カースト地帯は最も美しく、明の時代の旅行家徐霞客に「緑のハスと玉のタケノコからなる世界」とたたえられたことがある。そのほかに、同自治区北東部、中部、南東部、西部のあちこちでも石灰岩カースト地形を目にすることができる。
2. カルスト洞窟
自治区には洞窟がたくさんあり、景観も美しい。昔から「どの山にも洞窟があり、どの洞窟も奇異なものである」といわれている。カルスト洞窟が約10万もある。さまざまな形をした鐘乳洞の中には、鐘乳石、石筍(石のタケノコ)、石のカーテン、石柱、石蓮、石林などがあり、水が枯れてしまった洞窟である桂林の蘆笛岩、七星岩、柳州の都楽岩、武鳴の伊嶺岩、北流の色漏洞、玉林の竜泉洞、水がわき出ている洞窟の桂林の冠岩、茘浦の豊魚岩、灌陽の竜宮、鐘山の碧水岩、馬山の金倫洞、考古学的調査の出土品の展示に使われる桂林の甑皮岩(中国の代表的な新石器時代の古人類洞穴遺跡)、竜隠岩(断崖に彫られた唐の時代から清の時代までの彫刻200余件が収蔵されている)、柳州の白蓮洞(有史以前の人類文化の重要な遺跡)など著名な洞窟がある。
3. 山々の景観
広西チワン族自治区には標高1500メートル以上の山が数10もあり、ほとんどの山は雄大なスケールのもので、木々が生い茂り、景色が美しく、動物・植物資源が豊かで、猫児山、大瑶山、大明山、元宝山などの山は学術的調査や登山に適している。
4.河川・湖沼の景観
広西チワン族自治区には河川がたくさんあり、水が澄みきっており、奇異な形の山々とコントラストをなし、山と河川が共存する美しい景観をつくり出している。世界的に著名な漓江のほか、景色の美しいものとして融水の貝江、資源の資江、宜山の下規河、大新の黒水河、崇左の左江、寧明の明江などがある。
5、滝の景観
中国とベトナムの国境地帯にある帰春河上流の著名な徳天滝は、幅100メートル余り、高さ約80メートル、三つの流れが重なるようになって勢いよく疾走し落ちてくるようだ。また、資源の宝鼎滝、隆林の冷水滝、靖西三送嶺の滝、竜州響水の滝、上思応天府の滝もよく知られている。
6.泉の景観
広西チワン族自治区には泉がたくさんある。冷泉、熱泉、温泉、沸騰泉がそろっており、温泉が最も多い。竜勝温泉、陸川温泉、象州温泉、全州の炎井温泉、平楽の仙家温泉などがある。これらの温泉は水がたっぷりあり、水温もほどよく適当なもので、体によいさまざまな鉱物質が含まれ、周りの景色も美しく、バカンス、保養、レジャーにとってもってこいの場所である。
7.海の景観
広西チワン族自治区は海岸線が1595キロ、島がたくさんあり、海水が澄みきっていて、砂浜がきれいで、なだらかで、海岸の砂浜の景色が非常に美しい。最も著名な北海の銀灘は、10キロも続く長い砂浜があり、内外の観光客に喜ばれている観光地である。
(二) 人文的景観
1. 文化財・古跡と革命ゆかりの地
広西チワン族自治区はながい歴史があり、古代人類、古代建築物、古代文化遺跡・古代水利施設の跡、石刻・墓などの文化財と革命闘争のゆかりの地としての遺跡がたくさんある。中国の国務院と自治区政府の保護指定を受けた重要文化財が140余カ所もある。よく知られているものとして柳州の白蓮洞、桂林の甑皮岩、南寧の豹子頭などの古代人類遺跡、興安霊渠などの古代水利施設の跡、寧明の花山壁画、桂林の王城、容県の真武閣、柳州の柳侯祠、興安の厳関、恭城の孔子廟、合浦の大士閣などの古代建築物がある。また、清朝の頃に起こった農民蜂起--太平天国の発祥地である桂平の金田村、百色の労農赤軍第7方面軍司令部、竜州労農赤軍第8方面軍司令部所在地跡、欽州の劉永福旧居、李宗仁旧居、抗日戦争期の八路軍の桂林事務所などの革命ゆかりの地がある。
2. 民族の風情
広西チワン族自治区にはチワン族を主とする数多くの少数民族が集中して住んでいる少数民族自治区であり、それぞれの言語、服飾、建築物、生活習慣、風俗、祝祭日、民間芸術、特産物、調理法などには、ユニークな民族の特色があふれている。チワン族の三月三歌祭、ヤオ族の達努祭と盤王祭、コーラオ族の走坡祭、トン族の爆竹祭などがある。
3. 現代の建築物と造林芸術
広西チワン族自治区の造林はそれぞれ特色があり、南寧市の公園、植物園は南アジアの熱帯の景観をその特色とし、桂林、柳州の公園は中央アジア熱帯地域の風格を主とし、地元の特徴によって、自然景観(カルスト景観、湖沼景観など)と古代建築物を生かしてそれぞれの特色のある造林芸術が提示されている。
(二) 景勝地
現在、広西チワン族自治区には、漓江景勝区、桂平西山景勝区、寧明花山景勝区など三つの国家クラス景観区がある。また、隆安の竜虎山景勝区、貴港の南山-東湖景勝区、百色の澄碧問景勝区、陸川の謝魯山荘景勝区、三江の林渓-八江景勝区、鹿寨の香橋岩景勝区、北流の勾漏洞景勝区、容県の都嶠山-真武閣景勝区など29カ所の自治区クラス景勝区がある。太平天国の金田蜂起旧跡、容県経略台の真武閣、三江程陽の風雨橋、合浦県の大士閣、寧明花山崖の壁画、興安県の霊渠、中国労農赤軍第7方面軍司令部所在地跡と第8方面軍司令部の右江革命軍事委員会跡など国家クラスの歴史的文化財保護指定を受けているものが7カ所もある。自治区クラスの歴史的文化財保護指定を受けたものが220カ所もあり、また、北海の冠頭嶺の国家森林公園、桂林の国家森林公園、南寧良鳳江の国家森林公園、三門江の国家森林公園、桂平竜潭の国家森林公園、隆勝温泉の国家森林公園、上思と防城の十万大山国家森林公園、元宝山の国家森林公園、八角寨の国家森林公園、姑婆山国家森林公園、大桂山国家森林公園などの国家クラス森林公園が11カ所ある。北海銀灘観光リゾート地は国家クラスの観光リゾート区である。 |
海洋資源 |
広西チワン族自治区は南は北部湾に臨み、北部湾は南海北西部にある天然の半閉鎖的な湾であり、面積は12万9300平方キロ、水深は平均38メートル、最も深いところは100メートル。北部湾に臨む地域は広西チワン族自治区の南部、広東省の雷州半島、海南省の西部からなり、隣国のベトナムの北部も地理的にかかわりがあり、この地域は地理位置に恵まれ、資源も豊かである。
(一) 海洋資源の特徴
広西チワン族自治区の海洋資源には次の特徴がある。
(1)海洋資源の開発の潜在力は大きい。広西チワン族自治区は広東省、海南省、ベトナムなどと共に北部湾と南海海域の資源を保有するほか、自治区自らが保有する浅海と砂浜の面積は7500平方キロに達する。現在、これら資源の利用率はあまりにも低く、海洋産業の発展には大きな展望がある。
(2)港湾がたくあんあり、中国の南西部「門戸」としての港として建設する条件が備わっている。
同自治区の曲がりくねった海岸線と数多くの港湾の水上航行ルートによって同自治区沿海は天然の港湾と称されている。おおざっぱな統計によると、120以上の1万トン級深水バースの建設が可能で、開発後の年間貨物取扱量は1億4000万トンに達する見込み。
(3)熱帯に近い地域としての海洋生物資源に恵まれている。北部湾は中国の著名な漁場であるばかりか、中国の海洋生物種資源の宝庫でもある。沿海の砂浜にあるマングローブ樹林の面積は、全国の40%を占めている。浅海の海辺近くにあるサンゴ礁は、生態系と学術研究の面で大きな価値がある。
(4)海底の鉱物およびその他の海洋資源の潜在力は大きい。海底の石油・天然ガス資源の存在が確認されたほか、海水化学資源と海洋エネルギーもすばらしい開発の将来性がある。
(二)主な海洋資源
1. 海洋の捕獲資源
北部湾海域は熱帯海洋に属しており、さまざまな魚類の生息・繁殖に適し、そのうえ陸地河川の大量の有機物と栄養分を含む塩類が海洋に流れ込むことで、北部湾は中国における生物の生産量の高い海域となっている。
魚・貝類が500余種もあり、そのうち50種類は捕獲する経済的価値がある。最もよく知られているのはフエダイ、クエ、サワラ、マナガツオ、マダイ、イトヨリダイなど10余種もあり、その他の海産物のうち、スルメイカ、イカ、アオカニ、クルマエビ、アカガイ、ハマグリ、ホタテガイなどの品種があり、優れた品質と無公害で内外で喜ばれている。魚類の資源総量は75万トンで、そのうち、海底に生息している魚類の資源総量は35万トンで、資源総量の47%を占め、捕獲可能な水産量は約40万トンとなっている。魚類が集中して生息している区域は二つある@北部湾沿岸区 主な経済的魚類はマルアジ、トカゲエソ類、マダイ、サワラ、サッパ、ハモ、ウルメイワシ、ナマズ、オオサガなど30余種で、そのほかにスルメイカ、イカ、タコおよび20余種のエビ類がある。
A北部湾の入り口から中心部に至るまでの海域 主な経済的魚類はマルアジ、イトヨリダイ、エソ、イトヒキキントキ、マラッカニシンなど。
湾の東部と北部は魚類の産卵、稚魚の生息水域である、小魚が多く、この一帯は魚類資源の繁殖保護区である。成魚が湾の西部、湾の中心部を回遊し、大中型の魚類を主とし、中国、とくに広西チワン族自治区の漁民にとっての昔からの漁労区域である。北部湾漁場は三つの部分に分かれている。漁場の面積は4万平方カイリ近くである。
(1)北部湾北部の漁場。広西チワン族自治区沿岸から北緯20°30′の間にある海域であり、それはい洲島以北の禁漁区とい洲島以南の近海漁場に分かれている。禁漁区は主に魚やエビの繁殖水域で、魚類資源の繁殖保護区でもあり、そのうち営盤エビ養殖場、白虎頭−冠頭嶺エビ養殖場、砂頭エビ養殖場、防城港一三娘湾エビ養殖場、斜陽島南エビ養殖場など沿海エビ養殖場が5カ所、魚類産卵場が2カ所ある。
(2)北部湾中心部の漁場。主に夜鶯島を中心とする漁場である。漁場はいくつかの海水の塊が合流する区域で、プランクトンが豊かで、十分なエサがあり、海底は平らかで、平均水深は38メートルであり、底引網作業に適し、優れた底引網漁場である。
(3)北部湾南部外海の漁場。範囲は北部湾の入り口から南の水深80〜200メートルの南海大陸棚で、新しい漁場であり、魚類資源の大部分は経済的価値が高い魚類である。推定によると、同海域の海底魚類資源は一平方キロ当たり4トンで、海底魚類資源の総量は14万トンで、中間層の魚類資源は5万トンで、資源総量は19万トン、捕獲量は9万5000トン、まだ開発段階にあり、潜在力はかなり大きい。
2. 海洋養殖資源
広西チワン族自治区の浅海・砂浜の面積は広く、水質も魚類の生息に適し、生物の品種が非常に多い。10万ヘクタールの砂浜のうち、養殖が可能な面積は6万6700ヘクタールに達し、砂浜総面積の66.3%を占め、近いうちに養殖に利用することが可能な砂浜の面積は2万6700ヘクタールとなり、砂浜総面積と養殖面積がそれぞれ26.5%と40%を占めている。水深20メートル以下の浅海面積は65万ヘクタール、養殖に利用することが可能な面積は26万ヘクタールで、浅海面積の40%を占めている。
より高い経済的価値を持つ砂浜養殖品種としてハマグリ、アカガイ、イタヤガイ、カキ、イガイなどの貝類とチェックホシムシ、ゴカイ、マテガイ、ウニ、クルマエビなどがある。砂浜の生態環境から見れば、南へ流れる川の東の砂州は平らで、淡水が少なく、塩の含有量が高く、ホシムシ、ハマグリ、マテガイ、イタヤガイの生長・繁殖に適し、南へ流れる河口から西の砂州の海岸は曲がりくねっていて、流れ込む河川が多く、海水の塩分含有量が低く、水質も魚類の生息に適し、ホシムシ、ハマグリ、アカガイ、ゴカイ、カキなどの生長・繁殖に適している。潮の分布から見れば、高潮の地帯は甲殻類を主とし、カニ類が最も多い。中程度の潮の地帯以南はエビ類を主とする。浅海養殖では主に希少な稚魚、真珠・貝類、エビ類、カニ類、藻類などがある。主な養殖資源は次の通り。@真珠。広西チワン族自治区の沿海でとれる真珠はよく知られており、一般には「南珠」と称され、貴重な養殖品種であり、真珠は馬氏真珠貝からとれ、同自治区沿海の分布面積は数万ヘクタールに達し、主に合浦営盤と防城真珠港で養殖され、養殖面積は0.47万ヘクタールとなり、そのうち、短期間に開発できる面積は466.67ヘクタールである。
Aカキ。同自治区沿海に分布している天然のカキ資源の面積は20余万ヘクタールに達し、短期間に開発できる面積は3万3300ヘクタールで、そのうち開発に敵したよい面積は0.67万ヘクタールで、主に茅尾海から大風川口一帯の海域までのところに分布している。Bクルマエビ。同自治区の沿海区域ならどこでも養殖できるが、主に鉄山港から営盤に至るまで、北海の大冠沙、光坂から防城港に至るまで、江平から北侖川口に至るまでの区間を主としている。Cアオカニ。同自治区の沿海地区ならどこにも分布しているが、主に茅嶺江、欽江、金鼓江、鹿耳環江、大竈江、大風江、江平、山口、石頭埠などの区間に分布している。Dハマグリ。同自治区の沿海ならどこでも分布しているが、主に大風江河一帯の両岸に分布している。Eアカガイは同自治区の沿海区ならどこにも分布しているが、主に犀牛脚平山一帯、光坂薄寮尾、暗埠江河口、西場官井、水児などの海域に分布している。Fイタヤガイ。主に砂田、西場、砂崗、党江、犀牛脚一帯の海域でとれ、天然の資源面積は約1万3300ヘクタール。G日月貝。主に白虎頭東南の海域に分布している。Hオゴノリ。大番坂から南流江河口と石頭埠から営盤一帯に至る海域を主とする。I魚類。真珠港、竜門、石頭埠、い州区間を主とし、貴重な魚類とナマコの養殖の開発が可能である。
4. 海洋の資源
同自治区の海岸線は東は広東省と接する英羅港から、西は中国とベトナム国境地帯にある北侖川の河口に至り、海岸線の長さは1595キロで、直線距離は185キロ、海岸線の曲がりくねった部分と直線部分の比例は8.6対1である。島が624もあり、面積は45.81平方キロで、島の海岸線の長さは354.46キロである。浅海の砂浜面積は7500平方キロである。そのうち、水深20メートル以内の浅海面積は6488平方キロ、砂浜面積は1005平方キロである。
同自治区の海岸線は曲がりくねっており、港湾には航行できるルートが多く、自然の障壁に恵まれている。東から西へと、英羅港、鉄山港、廉州湾、大風江口、欽州湾、暗頭埠江口、防城港、真珠港、北侖川河口など10以上の大中型の天然港湾があり、そのうち、多くの港湾は水が深く港が広く、風を避け、隠蔽性があり、不凍港で、砂が堆積しないなどの特徴があり、港をつくる自然条件が優れている。おおざっぱな統計によると、これらの港は120以上の1万トン級深水バースを建設することができ、開発後の年間貨物取扱能力は1億4000万トンに達すると見られている。そのうち、欽州港、防城暗頭埠江河口、鉄山港の停泊能力は10万トン級、防城港、真珠港は5万トン級に達し、これらの潜在的な港湾資源は海運業の大規模な発展の必要を満たすことができ、世界の大きな港と直接通航する条件を備えている。現在、同自治区で開発された21の港のうち、防城港、北海港、欽州港、鉄山港だけが商業用輸送港として開発され、貨物取扱能力は700万余トンで、開発・利用はまだ足りず、潜在力は大きい。
4.海洋生物資源
同自治区沿海区は砂浜生物資源が豊富で、47科、140余種あり、貝類を主とする。そのうち、カキの資源量は4000トン、ハマグリの資源量は8500トン、イタヤガイの資源量は2万2000トン、チェックホシムシの資源量は4000トン、オゴノリの資源量は190トンで、砂浜養殖にとってのすばらしい天然条件に恵まれている。
自治区の浅海区も生物資源が豊かで、水深20メートル以下の浅海の範囲内には、浮遊植物が104種、浮遊動物が132種もあり、その年の平均総量はそれぞれ一立方メートル当たり1850万個細胞と137ミリグラムである。さまざまな海洋生物は1155種に達し、そのうち、エビ類が35種、カニ類が191種、マキガイ類が143種、貝類が178種、頭足類が17種、魚類が326種もある。経済的価値のある生物としては、経済価値のある主要な魚類が20余種類もあり、資源量は6000トンとなり、経済エビ類が10余種もあり、資源量は6000トンで、経済価値のある頭足類が3種類もあり、資源量は700トンである。また、北部湾は薬用価値の高い海洋生物資源も豊かである。そのうち、カブトガニが4種類もあり、資源量は数万トンで、年間水揚げ量は約20万匹である。フグも8種類もあり、ウミヘビも9種類あり、沿海の生きているウミヘビの年間生産量は約75トンである。
5. 海水の化学資源
同自治区近海の海水の塩分含有量は19.31‰〜32.09‰で、海水の年平均温度はセ氏23度で、そのうえ気候条件がかなりよいため、沿海地区の海水による製塩業の発展に役立っている。現在、塩田の総面積は4454ヘクタールで、そのうち、有効生産面積は3444ヘクタールで、一般年度の未精製塩生産量は12万トンである。そのほか、塩化学工業において塩およびびその副産物を利用して、アルカリ、にがり製造業などの総合的利用を発展させることができる。
近海海水の臭素含有量は60ppmで、中国のその他の海域の臭素含有量よを15ppm〜20ppmも上回り、海水からの臭素抽出を大規模に行うことができる。
6. 海底の鉱産物資源
北部湾の南東部海域で北部湾盆地と鶯歌盆地という海底天然ガス・石油田が2カ所が発見されている。北部湾盆地の天然ガス・石油田の面積は3万8000平方キロで、堆積の厚さは1万メートル近くで、天然ガス・石油資源は22億5900万トンあると見られており、開発の見通しは明るい。鶯歌海底盆地は主に北部湾湾口地域に分布しており、確認済みの天然ガス・石油の埋蔵面積は5万4000平方キロで、天然ガス埋蔵量は900億立方メートルで、今までに中国で発見された最大のガス田であり、埋蔵量は5
億9000万トンと見られている。北部湾海底の沈殿物の中には豊かな砂鉱があり、主にチタン鉄鉱、金紅石、ジルコン、モナズ石、石英砂、セノタイムなどがあり、前の4種類の鉱物は優位のあるもんである。
7.海洋エネルギー
(1)潮汐エネルギー。
広西チワン族自治区は北部湾の潮の干満がひんぱんにくりかえされる区域にある、潮の格差が大きく、大きな潮汐エネルギーを発生させることができ、開発・利用の展望はすばらしい。
全面的な調査によると、発電容量500Kw以上の開発条件を持つ港湾が18カ所もあり、年間発電量は10億8000万KWHとなる見込みで、そのうち、年間発電量が1億KWHを上回る港湾が4カ所あると見られており、特に竜門港の発電量は2億7000万KWHに達し、発電総量の四分の一を占める。
(2)潮流エネルギーと海流エネルギー。竜門港、真珠港、防城港、大風江口、北海港、鉄山港など6カ所の港湾に対する初歩的な推定によると、潮流エネルギーは合わせて1270KW、海流エネルギーは180KWで、蓄積量がそれほど大きくない。
(3)波力エネルギー。初歩的な推計によると、同自治区沿海の波力エネルギー資源は約52万KWで、その中の大陸沿岸の波力エネルギー蓄積量は23万KWで、島の波力エネルギー蓄積量は29万KWで、開発利用可能な波力エネルギーは約5万KWで、蓄積量が比較的に少ない。 |
生物資源 |
広西チワン族自治区は北熱帯、南亜熱帯、中亜熱帯にまたがっており、自然の生態環境に恵まれており、多様で複雑な野生の動植物資源がある。異なる種類の森林では、東南アジア大陸熱帯、亜熱帯特有の霊長類動物、鳥類、有蹄類哺乳動物、肉食類動物、水陸両生爬虫類動物などが生息しており、希少な植物が生えており、種類も多く、分布も広い。そのほかに、北部では古北界種類の動植物が多く存在する。
(一) 植物資源
同自治区は植物資源が豊かで、1670余属、6000余種、289科があることが確認されている。そのうち、喬木、亜喬木が120科、480余属、1800余種もある。国が公布した絶滅の危機に瀕している保護指定を受けている389種類の植物うち、同自治区には113種がある。そのうち、国の1級保護指定を受けている8種の植物の中で、3種類が同自治区にある。国の2級保護指定を受けている143種の植物のうち、47種類が同自治区にある。国の3級保護指定を受けている222種の植物のうち、63種類が同自治区にある。
中国の希少植物資源であり、「植物のパンダ」と称されている銀杉は古代植物に属するものであり、それは最も早い時期に同自治区で発見されたものである。また、竜州の艦木玉、資源のモミ、那坂のフ天樹、猫児山の華南ツガ、広西ヘゴ、金花茶などがあり、経済的価値のある昆虫資源としては、セラック、五倍子、ハチミツ、イボタロウムシ、虫のお茶がある。野生の工芸植物と特殊な用途のある樹木、灌木、草本にはさまざまなものがあり、森林の樹木を加工して抽出できるものとしてはロジン、安息香、タンニンエキス、ゴム、ウイキョウ油、桂皮油、ビャクラン油、茶油などがあり、菌糸栽培によるものとしてはさまざまなシイタケ、キクラゲがある。
広西チワン族自治区の主な希少植物は43種、22科、36属あり、だいたい4種類に分けられる。生き残っている希少樹種が4種類、希少な用材樹木類が20種、経済価値のある希少な樹種が7種、希少な観賞用樹種が12種もある。
地理的分布から見れば、主に広西チワン族自治区南西部にある高温で湿度の高い熱帯地域と南アジア熱帯常緑広葉モンスーン樹林、同自治区南部、南西の北熱帯、南アジア熱帯の十万大山、大容山、六韶山、六万大山、大明山および中央アジア熱帯にある大瑶山、九万大山、元宝山などの山間地、同自治区北部の竜勝花坪森林地帯、興安、猫児山自然保護区などの地に分布している。
同自治区の主な貴重樹種には銀杉、ヘゴ、フ天樹、馬尾松、モミ、短葉トガサワラ、福建コノテガシワ、油杉、ツガ・スギ、長葉ナギ、アカバノキ、ハナズオウ、クスノキ、広西アオウメ、オオバモクレン、蘇木、金花茶、ハンテンボク、イチイ、八宝樹などがある。
(2)動物資源
調査と文献の記載によると、同自治区において生息が確認されている鳥類は530の種と亜種があり、19目、56科に属し、全国の1186種の44.7%を占めている。動物類は113種、10目、32種に属し、全国の450種の25.1%を占めている。両生類は152種、3目、11科に属し、全国の320種の47.5%を占めている。そのうち、スッポン類が20種もあり、全国の24種の83.3%を占め、トカゲ類は39種、全国の117種の33.3%を占め、ヘビ類が93種で、全国の173種の53.7%を占めている。国の野生動物保護法によると、重点保護指定を受けている野生動物のリストは二つの等級に分けられ、広西チワン族自治区には1級保護指定を受けている野生動物が24種、2級保護指定を受けているのが119種で、また経済的価値のある薬用動物や観賞用動物もたくさんある。
霊長類 同自治区における霊長類動物(主にサルの種類)もかなり豊かで、全国の18種類のうち、10種があり、自治区全域に分布しており、南西部が最も多い。主にワタボウシルトン、フランソワルトン、ロリス、テナガザル、アカゲザル、アッサムモンキー、ベニガオザル、四川ベニガウザルなどがある。その中のアカゲザル(ガンジス川サル)は広西サルとも称されており、同自治区においては頭数が最も多く、幅広く分布している。ワタボウシルトンは同自治区特有の動物である。
野生の動物類 120余種あり、自治区全域に分布している。
野生の食肉目 主にインドオオジャコウネコ、ブツジャコウネコ、マレージャコウネコ、インドヒメマングース、カニクイマングース、イタチ、キエリテン、カワウソ、華南トラ、ヒョウ、クマ、ヤマイヌなどがある。
齧歯目 クロオオリス、白斑ムササビ、チュウゴクヤマネ、タイワントゲネズミ、中華タケネズミ、シロリスなどがある。
翼手目。キイロコウモリ、キツネコウモリなどがある。
偶蹄目。イノシシ、アカシカ、タイワンカモシカ、ヒマラヤジャコウジカ、ニホンジカ、ゴーラルなどがある。
鳥類 同自治区には鳥類がたくさん生息しており、全区域に分布しており、合わせて400余種もあり、全国の約34%を占める。よく見かけられる鳥類はセキショクケイ、アササギサイチョウ、オナガヒロハシ、ズアカキヌバネドリ、アオムネハチクイ、コジュケイ、キジバト、カノコバトなど。
両生類 61種もあり、主にオオサンショウウオ、フトイモリ、チュウゴクアマガエル、カワウソガエル、華南アマガエル、シロアオガエル、デニスアオガエル、ハナトゲガエル、 タケノハガエル、ヒキガエル、カリンコノハガエル、アジアヒキガエル、ヘリクロヒキガエルなど。
爬虫類 126種もあり、主にマルスッポン、スッポン、キンセンガメ、ウミガメ、オサガメ、タイマイ、ウミラッセルクサヘビ、アオハブなど。陸地でよく見かけられるのはウワバミ、キングコブラ、コブラ、マルオアマガサ、タイワンアマガサ、シャマハブ、ラッセルクサヘビ、アオハブなど。
トカゲ類 ミヤビラシトカゲ、オオトカゲ、オオヤモリ、瑶山ワニトカゲなど。そのうち、オオヤモリは同自治区の著名な薬用動物で、全国の80%を占めている。著名な瑶山ワニトカゲは同自治区特有のもので、中国の特産物である。 |
気候 |
(一)気候の特徴
広西チワン族自治区は低緯度地域に位置し、南は熱帯の海に臨み、北は南嶺の山地で、西は雲南--貴州高原、域内では河川が縦横に流れており、地理的環境は複雑な様相を呈している。太陽光の照射、大気の環流などの作用の下で、気候の特徴は次のようになっている。
(1)気候がさまざまなで、夏は長く冬は短い。気候の区画から見れば、同自治区の北部は中央アジア熱帯気候に属し、南部は南亜熱帯気候に属している。地形から見れば、北部と西部は山間地の気候の特徴があり、「立体的な気候」が顕著で、気候によって生態環境も多様な様相を呈している。南部は温暖で湿度の高い海洋気候の特徴があるため、冬が短く夏は長い。年間平均気温はセ氏16〜23度、平均気温で言うならば、北部の夏は4〜5カ月も続き、冬は約2カ月も続く。南部は5月から10月までは夏で、冬は2カ月足らず、沿海地域は冬がほとんどないような状態。
(2)雨水と熱エネルギーが豊かである。降雨量は1000ミリ〜2800ミリで、防港市東興区の降雨量が最も多く、2822.7ミリに達し、降雨量の最も少ないところは田陽県で、約1100ミリである。年間における太陽光照射総量は90〜100キロカロリー/平方センチ・年に達し、日間平均気温はセ氏10度かそれを上回り、累積気温はセ氏5000度〜セ氏8300度で、240日〜358日も続く。降雨量と熱資源の分布は北から南に向って増える傾向にある。4〜9月の降雨量は年間における降雨量の75%を占め、雨季と夏が重なっているため農業生産に役立っている。
(3)気候がよく変わり、災害をもたらす気候も多い。同自治区はモンスーンによる降雨と気温の変化がよく現れ、日干ばつ、水害、春の嵐、寒露の頃の台風、雹など災害をもたらす気候によく見舞われる。西部地区では春はよく干ばつに見舞われ、東部地区では秋に干ばつに見舞われる。雨季に降る大雨、豪雨があまりにも集中し降るため、毎年水害が発生する。南部沿海と融江流域において発生回数が特に多い。春と秋の雨季に北部の強い寒気が南下する影響でほとんど毎年の春に春のあらしと秋の寒露の頃の台風に見舞われ、農業生産に損害をもたらす。毎年の4〜7月には、大風がよく吹き、影響を及ぼす範囲と度合いもかなり大きい。また、西部地区では毎年ひょうが降るため、冬季の農作物と果樹の生産にマイナスとなる。
(二)気候のパターンと分布状況
1. 熱量資源
広西チワン族自治区各地の年間平均気温はセ氏17〜22度で、最も寒い1月は日間平均温度はセ氏5.5度〜15.2度、最も暑い7月はセ氏27度〜29度である。ここ数年来の各地の極端な最高気温はセ氏36度〜セ氏42度で、極端な最低気温は普通セ氏マイナス6度〜0度である。年間平均気温と1月、7月の平均気温の分布の特徴は北から南へ少しずつ高くなり、渓谷平原から丘の山間地帯へとだんだんと高くなり、西部は東部より高い。年間平均気温が最低の資源県は最高の北海市と比べて、6.2度の差がある。セ氏21度の等温線は西部地区の北緯24度線と南東区の北回帰線と一致している。この線以南は南亜熱帯気候区域に属し、そのうち南部沿海地区と左江、右江渓谷一帯は年間平均気温がセ氏22度を上回る。セ氏21度の等温線以北は中央アジア熱帯気候区に属している。各限界温度の最初の日と最後の日は持続日数と累積気温から見れば、各地で大きく違っている。累積気温がセ氏10度であるかそれを上回る南部沿海地区と左江および右江渓谷は8000度以上に達し、最高は8306度に達する。北部の山間地帯の資源県、楽業県、南丹県などがわりに低く、6200度を下回り、最低は4975度、3300度と違っている。その分布の特徴と年間平均温度は似ており、南部は北部より高く、西部は東部より高く、渓谷平原は高い山間地帯より高く、10度かそれを上回る累積気温の最初の日の分布の法則とセ氏10度かそれを上回る累積気温の分布の法則とが一致し、最後の日はそれと逆で、最後の日の東西の違いはそれほど大きくなく、南部沿海地区の最初の日は2月中旬以前から始まり、東北部山間地帯より40日も早い。西部の左江、右江渓谷の最初の日は1月末で、東部の梧州、玉林地区より20日も早い。セ氏10度かそれを上回る日間平均気温は最初の日と最後の日の分布にはそれ相応の特徴がある。つまり、南は長く北は短く、西は長く東は短く、渓谷平原は長く、高い山間地帯は短い。南部の合浦は340日間も続き、北部の桂林市より77日も多い、西部の百色は東部の梧州より44日も長い。緯度の同じく柳州盆地は金秀山区より25日長い。各地の無霜期の違いも大きく、284日〜365日で、その分布の法則は年間平均気温と一致している。そのうち欽州、玉林、南寧といった三つの地区の大部分と河や湖沼地域の南西部、百色地区の南東部の無霜期は340日間以上で、特に欽州、玉林の南部、都安の南東部と左江、右江渓谷の無霜期は約360日間も続き、冬はほとんどない。金秀、資源、灌陽、興安、賀県、楽業などの無霜期は短いと言えるが、それでも284〜298日に達する。他の地域は300〜340日である。
低温で水稲の立ち枯れをもたらす春の気候と秋の寒露の嵐によく見舞われる気候は同自治区の主な農業気象災害である。2〜4月には、北からのかなり強い寒気が南下し、南の暖かい湿気と合流し、長期間の低温多雨の気候となり、早場米の適時の種まきに影響を及ぼし、ひいては大量の立ち枯れをもたらす。統計データによると、中程度以上の立ち枯れをもたらす気候に10年に8回は見舞われる。寒露の前後には、北からの寒気が南へ流れ始め、より強い寒気にぶつかると、低温の天気になり(寒露の嵐となる)、おくて米の正常な出穂を、開花、乳熟に影響を及ぼす。
2.降水の状況
広西チワン族自治区は中国でも降雨量が多い地域の一つであり、大部分の地区の年間平均降雨量は1200〜2000ミリで、時間と空間によって分布は大きく異なっている。
三つの多雨区域は東興、昭平、永福近くである。それらの地域および周辺の年間平均降雨量は1900ミリ以上で、そのうち東興は2822.7ミリに達している。
百色を中心とする右江渓谷地域およびその上流にある隆林、西林、寧明を中心とする明江、左江渓谷、邕寧一帯は雨の少ない地帯で、年間平均降雨量は1200ミリ以下である。残りの地域は1200〜1900ミリである。地域による分布がアンバランスであるほか、同じ地域の年度内の降雨量も大きく異なる。たとえば、昭平の1973年における降雨量は2923.3ミリに達したが、1984年はわずか1304.
8ミリであった。
各地の降水日数
(日間降雨量が0.1ミリかそれを上回る)にはちがいがあり、北部は普通平均180日以上で、右江渓谷と南部沿海地域は140日以下である。降水日数の中で、大雨の日数が10%〜18%を占め、豪雨の日数は2%〜8%を占める。季節によって降雨量もアンバランスである。5月〜9月は降雨期で、降雨量は年間の75%を占める。10月から翌年の4月までは乾季で、降雨量は年間のわずか25%である。降水量が大きく変化しているため、干ばつ、水害がよく発生し、平均3年に2回干ばつの年となる。
2. 太陽光エネルギー資源
広西チワン族自治区は太陽光の照射は強いが、日照時間はやや短い。各地の年間における太陽光照射総量は平均して90キロカロリー/平方センチ〜130キロカロリー/平方センチである。右江渓谷およびそれ以西の地域、梧州、玉林地区の南東部、および十万大山の北側にある寧明、上思、南寧などの地域の年間における照射量は110キロカロリー/平方センチ以上で、同自治区でトップ。北部の山間地帯は最も少なく、年間における照射量は100キロカロリー/平方センチ以下で、資源、融安、南丹は90キロカロリー/平方センチ以下である。豊かな太陽光照射資源はプラスの側面ではあるが、日照時間が短かいということは、農作物の栽培にマイナスとなっている。同自治区の各地の年間平均日照時間はほとんどが1300時間の〜2250時間で、左江渓谷、右江渓谷、南東沿海地域と南部沿海地域はわりに多く、1800〜1940時間である。い州島は最も多く、2253時間である。北部の資源、竜勝、三江、南丹、天峨、中部の金秀は、冬と春は長い雨の日数が多いため、年間日照時間数は1300時間で、同自治区において最も少ない地域である。
3. 風力エネルギー資源
関連ある分析の結果によると、大苗山・大明山、十万大山以東、大瑶山-大容山以西の湖南—広西=海口--湛江鉄道沿線の両側地帯は、地形が平坦で広々としており、冬のモンスーンの南下と夏のモンスーンの北上の主なルートであるため、同自治区において風力エネルギー資源に恵まれる地域であり、そのうち欽州沿海地域と湖南――広西回廊では豊かで、風力エネルギーによる発電、農産物・副業産物の加工、揚水なに利用されている。
右江渓谷にある田陽、田東、那坂などの地は、地形が狭いのでパイプ状の地勢の効果もあって、風力エネルギー資源開発の価値がある。 |
森林資源 |
(1)森林資源の概況
広西チワン族自治区は面積が広く、亜熱帯気候に属し、降雨量がたっぷりあり、熱量資源が豊かなので、樹木の生長に適している。域内にはさまざまな天然次生森林と人工樹林が分布しており、森林資源が豊かで、中国の南部における重要な森林地区の一つである。
1990年の第5回森林資源連続再検査と近年の再検査結果によると、同自治区の森林資源の現状は次の通り。林業用地面積は1319万5700ヘクタールで、同自治区土地総面積の55.54%を占める。そのうち、樹林面積は813万ヘクタールで、林業用地面積の61.6%を占める。灌木林面積は157万ヘクタールで、11.9%を占める。まだ森林となっていない樹林面積は162万ヘクタールで、12.3%を占める。森林に適した樹林面積は187万ヘクタールで、14.2%を占める。森林の種類によって分ければ、材木林面積は376万8700ヘクタールで、79.06%を占め、防護林面積は85万9600ヘクタールで、17.94%を占める。薪炭材林面積は12万9600ヘクタールで2.7%を占める。特有森林面積は1
万4400ヘクタールで、0.30%を占める。
森林カバー率は38.2%に達しまだ森林になっていない造林地帯を加えると、樹林用地の87%(緑化率)を占め、1995年3月1日、広西チワン族自治区は中国共産党中央、国務院から全国造林荒地開墾基準達成先進省(自治区)の称号を授与された。生立木蓄積総量は2億5524万立方メートルで、そのうち、樹林分蓄積量は2億1359万立方メートルで、生立木蓄積総量の83.68%を占める。疎林蓄積量は1290万1800立方メートルで、5.05%を占める。粗放樹林蓄積量は2367万7300立方メートルで、9.28%を占める。道端や川のほとりの樹木の蓄積量は506万8600立方メートルで、1.99%を占める。木の種類によって分ければ、スギの木の蓄積量は3204万4700立方メートルで、生立木蓄積総量の12.55%を占める。馬尾松
(雲南松を含む)の蓄積量は7842万6000立方メートルで、30.73%を占める。広葉林の蓄積量は1億4476万9300立方メートルで、56.77%を占める。
樹林の種類によって分ければ、材木林の蓄積量は1億5365万3300立方メートルで、樹林分蓄積量の71.94%を占める。防護林蓄積量は5689万8000立方メートルで、26.54%を占める。薪炭材は106万7700立方メートルで、0.51%を占める。加工用林は195万3800立方メートルで、0.91%を占める。
優位のある木の種類によって分ければ、スギの木林面積は79万7000ヘクタールで、樹林分面積の16.63%を占め、蓄積量は2880万3700立方メートルで、樹林分蓄積量の13.48%を占める。馬尾松の面積は16248万ヘクタール、33.98%を占める。広葉樹林面積は236万7000ヘクタールで、49.39%を占め、蓄積量は1億2112万6100万立方メートル、56.71%を占める。
(二) 主な森林資源
1. 天然林
広西チワン族自治区は亜熱帯の南部地帯に位置し、南から北へ緯度が高くなるに従って、温度が下がり、植生のパターンの交替が見られる。南部は北熱帯モンスーン雨林に属し、十万大山森林区、竜州弄崗自然保護区などはこの植生の典型的な分布地域である。中部は南亜熱帯で、常緑広葉林である。北部は中央アジア熱帯で、殻斗科植物に代表される常緑葉林は資源県花坪林区の特徴である。そのため、天然林は常緑広葉林を主とし、また亜熱帯落葉広葉林、亜熱帯針葉広葉混成林、亜熱帯針葉林もある。そのうち、亜熱帯針葉広葉混成林は百色地区にしか分布していない。九万大山、大瑶山、海洋山、西大明山、猫児山、富川西嶺、大明山、花坪林区、姑婆山などには広大な面積の天然広葉林がある。
同自治区は亜熱帯という特定の環境にあるため、さまざまな特殊な用材に用いる貴重な樹木が生えている。主に軍需産業、造船に使うチーク、タガヤサン、アカバノキ、シイ、楽器の製造に使うビャクダン、蘇木、特殊な器材や高級家具に使うホペア、マホガニー・ラカ黄檀などがある。希少な樹木は同自治区全体に分布しており、十万大山、都陽山、竜州、寧明、および中部の大瑶山、北部の九万山、花坪林区、猫児山などで最も豊かである。
2. 人工林
同自治区の人工林はマツ、スギ、ユーカリなどの用材林とオオアブラギリ、油茶、ダイウイキョウ、カシア、タンニンエキスなどの経済林を主とする。
(1)スギ。スギの生長に適した環境は中央アジア熱帯地域にある標高500〜1000メートルの砂岩山地、暖かくて湿度の高い地域である。スギ林は主に北部、西部の山間地帯に分布し、優良な品種は主に融水ミャオ族自治県の白雲郷、拱洞郷いったいの自糠スギと四栄郷一帯の四栄アブラスギなどがある。
(2)マツの木。同自治区のマツの木は馬尾松、雲南松という二種類に分かれている。馬尾松は強い陽性樹種で、海抜1000メートル以下の砂岩丘陵での生長に適し、東部の砂岩、花崗岩山間地に広く分布している。雲南松は乾燥に強く、西部の雲南—-貴州高原の周辺にある楽業、天峨、西林、隆林などの県に分布している。主要な優良樹種は忻城県の古蓬松と寧明県の桐棉松、および国外から導入した湿地松である。
(3)ユーカリ。同自治区はユーカリの品種も多く、主にオオバユーカリ、レモンユーカリ、小葉ユーカリ、ラワンなどであり、レモンユーカリは造林に多く利用され、主に太陽光の照射の強い左江、右江流域と同自治区南部の沿海地域に分布している。
(4)竹。同自治区の竹は主に鞭生竹、群生竹の二種類に分かれている。鞭生竹はモウソウチクを主とし、主に中央アジア熱帯地域にある桂林、梧州地区の北部に分布している。
群生竹は蒸し暑い環境でよく育つ。主に南アジア熱帯地域にある同自治区南東部と西部の石の多い山間地帯に分布している。
(5)経済林。経済林総面積は99万ヘクタールで、そのうち、植物油の原料林面積は58万ヘクタールで、58.76%を占める。特殊経済林面積は16万8000ヘクタールで、16.9%を占める。果樹林面積は20.16万ヘクタールで、20.4%を占める。その他の経済林面積は3万8000ヘクタールで、3.9%を占める。主に、@油茶。同自治区の主要な木本食用植物油原料の樹種で、主に三江、融安、竜勝、昭平、茘浦、永福、鳳山、巴馬、陽朔、鹿寨、岑渓などの県に分布している。
1990年におけるその面積は約50万ヘクタール。
Aオオアブラギリ。主に千年ギリと三年ギリの二つの樹種があり、いずれも陽性の樹種である。千年ギリは主に南亜熱帯の海抜400メートル以下の土山の丘陵や左江流域一帯に分布している。三年ギリの分布は広く、主に海抜700メートル以下の低い丘陵地帯、紅水河、融江、右江などである。
1990年におけるその面積は6万2400ヘクタール。
Bダイウイキョウ。広西チワン族自治区の特産物の一つであり、南亜熱帯の海抜300〜1000メートルの酸性傾斜面がその生長に適し、主にどう自治区南西部、南部各県(市)に分布し、1990年におけるその面積は11
万5200ヘクタール。
Cユーカリ。南亜熱帯樹種で、湿潤気候を好み、主に海抜500メートル以下の海江流域と十万大山一帯の低い丘陵地帯に分布し、1990年におけるその面積は2
万4000ヘクタール。
八、豊富な果物資源
中国ですでに発見されている58科、670種の果樹のうち、同自治区には110種、43科がある。そのうち、熱帯、亜熱帯果物は80%を占め、中国の熱帯、亜熱帯果物の主要な生産地の一つである。熱帯、亜熱帯の果樹が17種類、500余品種もあり、優良品種が30余もあり、そのうちの沙田ザボンの生産量はトップで、バナナ、パイナップルは全国で二位であり、ミカン、レイシ、竜眼は三位である。
2001年における果物の生産量は405万2000トンで、一人当たり果物の保有量は86.32キログラムとなり、全国でトップである。 |
環境状況
と問題 |
同自治区の環境保全の仕事には大きな進展が見られている。工業企業が排出した12種類の主要な汚染物は国が決めた基準以下に抑えられている。現在、南寧、桂林、北海の三つの国家環境保全重点都市の環境品質指標は国の基準をほぼ達成した。主要都市・町の空気環境の質は国の2級基準以内を保ち、主要な河川の80%の流域は清潔かなり清潔な水質を保っている。 |