標高 |
陜西省の域内には、山間地帯もあり、平原もあり、地形が複雑である。南北が高く、中央部が低いのはその基本的な特徴。北から南へと、三つの特色ある自然区域が形づくられ、北部は陜西北部黄土高原で、中央部は「八百里秦川」と称されてきた関中平原、南部は秦巴山区である。
陜西省北部の黄土高原は標高800〜1300㍍、総面積の約45%を占める。
関中平原は西は宝鶏から東は潼関まで広がり、標高は平均520㍍。
陜西省南部の秦巴山区は、秦嶺、巴山、漢江渓谷地帯を含め、
陜西省の総面積の約36%を占める。秦嶺は標高1000〜3000㍍、省の最南部にある巴山は海抜1500〜2000㍍。 |
鉱物 |
現在、埋蔵量が判明しているものは91種を数え、そのうち、中国の上位10位以内にランクされているものが58種に上る。例えば、金の埋蔵量は第5位、生産量は第4位を占め、モリブデンの生産量は中国の2分の1を占める。石炭の判明されている埋蔵量は1618億㌧で、
陜西省の鉱物資源のトップを誇る。目下開発中の北神府炭鉱は、埋蔵量が1340億㌧に達し、炭層が厚く、炭層が浅いところにあるため、採掘しやすいし、良質の動力用炭として世界でまれに見るものである。省の北部には、世界有数の天然ガス田があり、すでに判明している埋蔵量は3500億立方㍍に上る。 |
水力エ
ネルギー |
秦嶺を境として、その北側の河川は黄河水系に属し、その南側の河川は長江水系に属する。黄河水系は渭河、河、洛河、無定河などを含み、長江水系は漢江、丹江、嘉陵江などを含む。陜西省一の大河は漢江で、その年間流量は省総流量426億立方㍍の半分を越える。その豊かな水資源によって1400万㌔ワットの発電が可能である。 |
動物 |
野生の脊椎動物が750種あるが、そのうちに希少動物が79種、パンダ、キンシコウ、ウンピョウなど国によって重点保護動物と指定されているものが12種ある。 |
植物 |
森林面積は593万㌶、被覆率は28.8%に達し、主に秦巴山区、関山、黄竜山、橋山などの山間地区に分布する。野生の植物は3300種余り、そのうち希少植物が37種、薬用植物が約800種ある。沙棘(グミの一種)、絞股藍(アマチャヅル)など保健薬用植物の資源が豊かで、かなりの開発価値がある。漆は生産量、品質とも中国一を誇り、ナツメ、クルミ、桐油は昔から地元の輸出品である。 |
観光資源 |
陝西省域内に散在している72の歴代の帝王陵墓は、当時の社会の経済や文化を再現するための証拠となっている。黄帝陵、兵馬
、法門寺、西安碑林、陝西歴史博物館、西安古城壁など「十大観光スポット」は、いずれも「中国の最たるもの」と称される。秦の始皇帝陵と「世界第八大奇跡」と称される兵馬
はユネスコによって世界文化遺産リストに登録されている。 |
環境の状況と問題 |
土地の砂漠化、水土の流失、砂あらしの深刻化。
1500年も前の頃は、陝西省は緑豊かな土地で、「陸海」や「天府」と称されていた。のちに、歴代の戦乱と無制限の開墾によって、森林などの植生がひどく破壊され、土地の砂漠化と環境の悪化をもたらすことになった。1949年頃になると、森林と草原はほとんどなくなり、広々とした耕地が多くの村も流砂に呑み込まれ、砂あらしが頻発し地元の工・農業生産に大きな災害をもたらした。
それに加えて、自然の水の流れに洗われて、黄土高原には谷が縦横に走る地形が形づくられている。富県の北にある延安、さらに楡林県などは、黄河上流地域における水土流失のひどい地区で、河川の年間土砂運搬量は数億㌧に達し、黄河の土砂の主な源の一つとされる。
そのため、陝西省では北部からスタートし、綿密な計画のもとに、水土流失の防止や生態環境の改善をめざす「山河美化プロジェクト」が始まっている。このプロジェクトはそれぞれ万里の長城沿いの風砂区、北部の黄土高原の丘陵・谷間区、渭河北部高原の谷間区、関中平原及び秦巴山区に対して土地の状況に適合した建設・発展の方針を定めている。全省の人々が数十年にわたるたゆまぬ努力を通して、
陜西の大地を山みどりで、水清く、空青く、人びとが豊かに暮らす理想郷に変え、経済や社会の持続的な発展を実現するという方針である。 |