地形 |
天津は海河の下流に位置し、海河の両岸に展開する都市で、域内には海河、子牙新河、独流減河、永定新河、潮白新河および薊運河などが流れ、海に流れ込んでいる。市中心部は海岸からは50キロ、首都の北京からは120キロも離れており、海から北京に通じる要衝であり、昔から首都の門戸、国都の周りの重鎮であった。天津はまた華北、東北、西北という三北地区を連ねる交通の中枢でもあり、天津から東北地域の瀋陽、西北地域の包頭、南部の徐州、鄭州などへは、その直線距離はいずれも600キロを超えない。天津はまた中国北部の10数省・直轄市の海に通じる交通ルートであり、中国北部で最大の人工の港──天津港があり、30余本の海上ルートが300余りの世界各国、各地域の港へ通じ、太平洋の対岸からヨーロッパとアジア内陸部に通じる主なルートであり、ユーラシア・ランドブリッジの主な海への出口でもある。地理的位置、戦略的地位に恵まれた非常に重要な都市である。 |
気候 |
天津は中緯度のユーラシア大陸の東海岸に位置し、太平洋に面し、季節的環流による影響が著しく、冬はモンゴルからの寒い高気圧にさらされ、北寄りの風が多く、夏は西太平洋の副熱帯高気圧の影響を受け、南寄りの風が多い。天津の気候は暖温帯半湿潤の大陸季節風気候に属し、次のように顕著な陸地から海への過渡的特徴があり、つまり春、夏、秋、冬の四季がはっきりしており、季節の長さが違うこと、降雨が少なく、雨量がアンバランスであること、季節風が強く吹き、日照が十分であること、海に近いが、大陸的性格が強い。年間平均気温は12.3℃、7月は最も暑く、月間平均気温が26℃に達することもあり、1月は最も寒く、月間平均気温はマイナス4℃で、年間平均降水量は550〜680ミリ、夏の降水量は年間降水量のおよそ80%を占める。 |
土地 |
天津の北部にある薊県の山間部の土壌は、石の風化によって形成された薄い積土層であり、その他の地区は第4紀沈積物の発酵によって形成された土壌で、農業生産に適した肥沃な土地である。市全体の農業用地は67万1700ヘクタール、非農業用地は45万9000ヘクタールである。海河の下流にある浜海地区にはまだ開発されていない荒地・砂地が120平方キロもある。 |
鉱物 |
すでに発見されている採掘価値のある鉱物資源は20余種。主にマンガン、マンガン・ホウ素石、金、タングステン、モリブデン、銅、アルミニウム、亜鉛、石灰岩、大理石、麦飯石、重晶石、天然油砥石などさまざまな金属と非金属がある。燃料用鉱物としては主に石油と天然ガスがあり、平原の地下および渤海大陸棚に埋蔵されているといわれている。 |
水資源 |
天津は海河の両岸地域に展開する町であり、海河は華北最大の川で、上流には長さが10キロ以上の支流が300本余りもあり、中流において北運河、永定河、大清河、子牙河、南運河に流れ込み、この5本の川は天津の金鋼橋付近の三叉口で合流して海河の主流となり、大沽口で海に流れ込む。主流はその全長が72キロ、幅は平均100メートル、水深が3〜5メートルで、かつては3000トン級の汽船が通航したこともある。
灤河の水を引いて天津に送水するプロジェクトは80年代に実施された大規模な水利プロジェクトであり、毎年天津に10億立方メートルの水を送水することができる。天津は地下水の蓄積量が豊かで、山間地帯では石の裂目から流れ出た水も多く、水質が最もよく、鉱化度が低く、泉水の流量はたいてい一時間当り7.2〜14.6トンで、雨季になると最高は一時間当り720〜800トンに達することもある。市全域には大きなダムが3つあり、総貯水量は3億4000万である。 |
生物資源 |
浜海地帯には耐アルカリ性植物が多く生えている。樹種は白ろう、槐(エンジュ)、つばき、やなぎ、楊、キリなどがあり、近年、ナシ、ナツメ、アンズ、桃、ブドウ、リンゴなど果樹の栽培も重視されている。窪地にはアシ、ショウブおよび人工栽培のヒシ、レンコンがある。北部の山地ではアカマツ、コノテガシワ、クルミ、クリ、サンザシ、カキの木などがたくさんある。野生動物は、野生のヤギ、キバノロ、ハリネズミ、リスと鳥類などで草原の動物である。陸上の水たまり、ダムには淡水魚類がおよそ30種類も生息しており、水揚げの量の多いのはコイ、青魚、草魚、レンギョ(シタメ)、梭魚などである。 |
環境の状況と問題点 |
2002年から2004年にかけて、天津市では「青空プロジェクト」、「碧水プロジェクト」、「騒音排除プロジェクト」、「エコプロジェクト」、「工業汚染予防・整備プロジェクト」、「モデル化細胞培養プロジェクト」など環境保全を目指す六大プロジェクトが全面的に推し進められ、空気と水環境の質、生活ゴミの処理などの深刻な問題を早急に解決することになっている。約3年間を費やして、市全体の工業汚染物の排出基準に到達させ、二酸化硫黄(SO2)の排出総量を20%以上減少させ、空気と水環境の質を国の基準に到達させ、都市の空気の質が2級の基準に達する日数を90%に到達させ、市街区の地表水は都市部基準に達するようにし、ゴミの無害化処理率が80%になるようにし、国の環境保護モデル都市をつくる目標に達するようにする。2005年から2010年までに、北京オリンピック開催のチャンスを捉えて、産業構造と都市の配置を調整し、ハイテク、付加価値が高く、汚染の少ない産業を発展させ、天然ガスの使用量を大幅に増やし、30億立方メートルになるよう努力し、石炭による発電所およびその他の石炭ボイラーは硫黄分を除去するよう整備し、ガス補充ステーションを150ヵ所新規建設し、公共バスと衛生環境整備専用車は全て圧縮天然ガスを使い、空気汚染を効果的にコントロールし、国家クラス自然保護区3、市クラス自然保護区2を整備し、浜海湿地と都市生態圏の回復と整備に力を入れ、都市環境の質をいっそう高め、良好な循環がおこなわれる北京・天津生態圏を一応形成するよう努力する。 |
観光資源 |
天津には歴史遺跡が多く、出土文物も豊かで、40ヵ所の国家クラスと市クラスの重点文化財がある。そのうち、隋の時代にできた大きな木造のお寺──独楽寺には1000年余りの歴史がある。薊県の黄崖関長城は全長が41キロで、多種多様な造形の異なるのろし台が1000余りもあり、高くて険しく雄大で、「薊北を守る鎖」と称されてきた。「北京東部第1の山」と称されている薊県盤山は、雄大な地勢の山で、山々が重なり合い、建築物と自然の山水とが一体となっている。そのほか、天后宮、文廟、大悲院、モスク、天尊閣、天成寺、大沽口砲台、望海楼教堂、広東会館および青年時代の周恩来氏の天津における革命活動記念館などがある。
天津の建築物は古い建築物と現代建築物が共存するという特色を持っており、「万国建築博物館」とも呼ばれている。開港が早かった上、かつては9カ国の租借地があったため、風格がそれぞれ異なった洋風の建築物がその特色であり、19世紀末から20世紀の初めにかけての東洋および欧米諸国のさまざまな建築物が1000棟余りも残っている。
天津にはその名を知られた四大民間芸術が存在する。「泥人張」のカラー彫刻芸術は全国でも有名で、世界でも好評である。「揚柳青年画」にはながい歴史があり、外国の観光客に非常に喜ばれている。「魏記のたこ」は1914年にパナマ国際博覧会で金賞を獲得した。「れんがの劉」に代表される建築装飾レンガの彫刻のお陰で、天津のれんが彫刻は中国のただ一つの民間建築技術の粋を示すものとなった。 |