国内総生産(GDP) |
2000年末までのところ、全自治区の国内総生産は116.5億元で、昨年より9.3%増えた。 |
GDP成長率 |
1人当たりのGDP 1998年末、1人当たりのGDPは3716元であった。 |
GDP中
の比率 |
1998年末までのところ、第一次産業は34.3%、第二次産業は22.2%、第三次産業は43.5%であった。 |
貧困脱
却計画 |
内陸部、特に沿海の省、自治区に比べれば、チベットはまだ発達していない地区であり、1998年までのところ、全自治区では21万人の人口が貧困ライン以下で生活し、これは全自治区の農村人口の約9.8%を占めている。
1993年末に、国は「八・七貧困脱却援助攻略計画」を制定した。すなわち20世紀の最後の7年間に、全国の8000万の貧困人口の衣食住問題を解決することがそれである。1994年に、自治区政府は「チベット自治区の貧困脱却援助攻略計画」を実施し始めた。この計画は人力、物資、財力を集中し、6年間を使ってこの区の48万の貧困人口の衣食住問題を基本的に解決することを打ち出したものである。各クラスの政府の共同の努力と大衆の積極的な参与により、この攻略計画の実施は非常に順調に進んでいる。1994年から1997年末までの4年間に、全自治区の貧困人口は48万から21万に激減し、貧困県は22から9に減った。
チベットの貧困人口は西部のヒマラヤ山沿いの北麓地区、チベット中部の農業・畜産業地域の結合部、チベット東部の横断山脈地区に比較的に集中している。これらの貧しい地区は生産の条件が非常に劣っており、経済が立ち後れているため、地元の住民の1人当たり純収入は500元足らずで、最低の生活の必要を維持することもできない状態である。
この貧困脱却援助攻略の中で、自治区政府は、開発によって貧困脱却援助を促し、貧困人口のために生産の条件と生活環境を創造、改善し、それによって自らを発展させ、生産によって貧困から脱却する。これらの措置は政府による投資、地元の大衆が労働を提供する農地、牧草地と水利施設の基本建設、地元の資源を利用する栽培業、養殖業と営林・果樹栽培業、農業・畜産業製品加工業と民族の特色のある手工業などを含んでいる。それと同時に、学校と農業科学技術養成トレーニングコースを次々と開設することも貧困脱却援助計画の重要な内容であると見られている。
1996年と1997年の間に、全自治区は国の貧困脱却援助資金と自治区の自己調達資金を利用して246の基本建設プロジェクトを興し、総投資額は4.1億元に達した。これらのプロジェクトの実施により、1997年末現在、貧困地区では、9700fの低収量農地を改良し、4000fの荒れ地を新たに開墾し、5.3万fの牧草地をつくり、62本の用水路を新たに掘り、総延長は4000`で、人間・家畜・家禽飲用水施設37を新たにつくった。これらの農業基本建設工事は地元の人民が貧困から脱却するための条件をつくった。
チベットのほとんどの貧困人口は自然環境の極めて悪い地域で生活し、農地、牧草地、水源が不足し、自然災害が頻繁に発生し、そのため地元の人民は基本的に生産の改善によって貧困から脱却することは難しい。このような情況の下で、他の地への引っ越しと移住は政府の考えた最終の手段である。ここ数年、ギャンズェ県政府は政府の出資を主とし、個人が更に一部を加えるという方法をとって41戸の貧困家庭が山が高くて谷が深く、資源の乏しい地域から年楚
(ニャンチュ) 河開発区内に引っ越すように助け、それによって条件のよりよい地方で生産経営を通じて衣食住問題を解決することになった。1997年現在、シガズェ地区政府はあわせて326戸の貧困家庭の引っ越しを組織し、合わせて2119人で、そのうち76%は短期間で貧困から脱却した。
ここ数年、ますます多くの貧困県の農・牧畜民は家族の人数が多すぎることが貧困から脱却しえない主要な原因の一つであると認識するに至っている。そのため、地元の政府に避妊用具を配ってくれるようすすんで求めている。仁布(リンブ)県では、政府は貧困脱却を女性の晩婚、遅めの出産、健康な育児の提唱と結びつけている。そのため、この県はここ数年間に次第に貧困から抜け出す中で、人口増加率はずっと1.2%以下を保っている。
現在、中央政府の直接投資と貧困脱却援助貸付け以外に、チベットはさらに一連の特別優遇政策を享受している。例えば貧困家庭は国の食糧買付の任務を免除してもよいことになっている。貧困家庭は化学肥料、農薬、農業用のマルチフィルムなどの生産手段の補助金および貧困地区の開発プロジェクトの設計、調査測量などの費用を政府が引き受けるなどを享受することができる。
そのほかに、内陸部各省もチベットの貧困脱却援助活動に参与している。ある省、直轄市は対応援助の対象となったチベットの地区、県の貧困脱却援助活動を自らの経済・社会発展計画に組み入れ、援助される地区のチベット人民と地元の人民が共に豊かになる道を歩くように努力している。 |
財政収入 |
2000年、全自治区の財政収入は5億元で、前年より9.3%増えた。 |
工業生産
額とその
成長率 |
2000年の全自治区工業生産総額は17.92億元で、前年より8.2%増えた。 |
農業生産
額とその
成長率 |
2000年の農業総生産額は47.80億元で、前年より3.7%増えた。 |
対外貿易
の状況 |
ここ数年来、チベット自治区は国に与えられた特別優遇政策を利用して、民族の手工業製品を主とする工業製品と畜産品の輸出を積極的に拡大している。国境貿易による輸出入額は急速に伸びており、税関統計によると、2000年10月末現在、国境貿易による輸出入額は前年同期比52.9%増の8463ドルとなり、そのうち、輸出額は前年同期比60.56%増の7906万ドル、輸入額は前年同期比8.69%減の557ドルとなっている。国有対外貿易企業が経営を拡大するほか、国境貿易市場も発展をとげている。現在、チベット自治区はさまざまな国境貿易市場を28も設立し、主にネパールとの間でお互いに国境貿易をおこなっており、中国における南アジアに向けての窓口となっている。中国の対外経済貿易体制改革の深化にともなって、チベット自治区は国際経済の運営ルールに適した対外貿易運営メカニズムを確立している。1994年に為替レートを統一させ、市場のニーズを基礎とする単一で、管理された変動為替レート制度を確立した。輸出に対して銀行における外国為替決済、為替販売制度、企業が獲得した外貨は直接銀行で外国為替決済を行うことになっている。現代企業制度の要請に基づいて、国有対外経済貿易企業を改革し、それを国の計画の実行者から輸出製品の経営者に転換させ、条件の備わった生産と流通の企業に対外経営権を与え、一日も早く国際化、実業化、グループ化の総合的貿易公司を設立することになった。 |
外資利用
の状況 |
チベット自治区政府は外国業者がエネルギー、交通、建築、軽工業、紡績、機械・電子、商業貿易、食品、養殖、加工、農業・林業・牧畜業開発、観光業開発などの面で投資するか、あるいは全額出資、合弁の企業を経営し、経済技術協力をおこなうことを歓迎している。特に中長期投資プロジェクト、収益をあげる総合的開発プロジェクトへの投資を歓迎している。自治区政府はまた個人経営者や私営企業が設立する中外合弁経営、中外協力経営、材料委託加工、部品委託組立て、サンプル委託加工、補償貿易などの業務、および国境地帯の住民の市場貿易をサポートしている。政府部門が認可したすべての外国投資企業は、国とチベット自治区の関連優遇政策を享受することができる。
現在までのところ、チベット自治区政府が認可した外国投資企業は50余社に達し、1994年だけでも19社が認可され、投資総額は10億2000万元(人民元)と2000余万ドルに達し、投資者はアメリカ、日本、ドイツ、マレーシア、ネパール、澳門、香港などの国・地域から来た人たちである。いくつかの国際機関と国はチベットと経済協力を行い、一部の国際援助プロジェクトを実施している。そのうち、国連開発計画(UNDP)は1981年から約400万ドルの援助金を提供し、ヤンバジェン地熱発電所の建設に用いている。1989年世界食糧計画(WFP)は干害防止、灌漑条件の改善を主とするラサ渓谷4県(地区)の農業総合開発プロジェクトを援助し、資金が使用されている。国連児童基金(UNICEF)は援助金321万5000ドルを提供し、チベット自治区婦人・児童保健ステーションなど10件のプロジェクトの建設に用いられている。1995年、国連開発計画(UNDP)はチベット西部のチョモランマ自然保護区にあるニャラム、ティンリ、ティンギェ、ギェルンの4県に82万2000ドルを提供し、農業、住宅、学校、風力発電、手工業などのプロジェクトに用いられている。 |
輸国際資金と援助計画 |
国連開発計画(UNDP)は1981年から約400万jの援助を提供し、これはヤンバジェンの地熱発電所の建設に用いられている。1989年、国連世界食糧計画(WFP)が干ばつ対策、灌漑条件の改善を主とするラサ河両岸の4県(区)の農業総合開発プロジェクトを援助し、現在全部使用され始めている。ユニセフは321.5万jの援助を提供し、これはチベット自治区の婦人・子供の保健ステーションなど10のプロジェクトの建設に用いられている。1995年に、国連開発計画(UNDP)はチベット西部のチョモランマ自然保護区の聶拉木(ニャラム)、定日(ティンリ)、ティンギェ、吉隆(ギェルン)の4県に農業、住宅、学校、風力エネルギーによる発電、家庭手工業などを含むプロジェクトに対して82.2万ドルの援助を提供することを決定した。 |
支柱産業 |
平和解放50年来、中央と全国の他の省・自治区・直轄市の力の強いバックアップの下で、チベット経済はゼロからスタートし、観光業を主とする六つの特色のある支柱産業が形成され、新しい世紀の経済の飛躍的発展のために重要な支えとなっている。
六つ特色のある支柱産業は次の通り。
観光業 チベットにはこの世に並ぶものはないといわれる自然の景観と人文資源があり、観光業は同自治区において最も急速な発展をとげ、潜在力の最も大きな特色のある産業となっている。中央第4回チベット座談会で、朱鎔基総理(当時)は、観光業をこのうえなく重視し、着実に発展させ、観光業をチベットの支柱産業にしなければならないと強調した。第九次五カ年計画期に、チベットは内外観光客を延べ200万人以上受け入れ、昨年は延べ60万8000人に達し、観光による直接の収入は6億5000万元、間接の収入は32億6000万元となり、それぞれ同自治区の国内総生産の5.5%、27.8%を占めている。第十次五カ年計画期に、チベットは国際観光名品コースをつくる目標をめぐって、ヨーロッパ、アメリカ、日本、韓国、ネパール、香港・澳門・台湾などの国・地域、および国内のその他の観光都市との観光ネットをつくり、観光、探険、レジャー、バカンスなどがそろった観光産業システムを形成するようにし、ラサを中心とし、六つの地区、五つの周辺省・自治区およびネパールとリンクした観光コースをつくることになっている。同自治区観光局の張万生局長によると、第十次五カ年計画期末までに、チベットは内外観光客延べ140万人を受け入れ、観光による収入の総額は15億5000万元に達し、同自治区の国内総生産の約1割を占めるようになる見込みである。
チベット医薬業 ユニークなチベット医薬業には2000年以上の歴史があり、第九次五カ年計画期に、チベットのチベット医薬業は在来の優位を現代的な科学技術、生産技術と結びつけ、チベットから全国に向かい、世界に向かって進出し、年間生産額は3億元を上回るようになった。第十次五カ年計画期に、チベットは外的条件と内的条件の改善に力を入れ、チベット医薬の特色を重点とし、サービスをさらに充実させ、医薬関係の人材の育成に力を入れ、チベット薬の生産が規模化、集団化へと発展するよう促し、現代の基準を導入し、在来の薬剤の改良を加速し、チベット医薬の生産の内外とのリンクを促し、バイオ技術を広く運用し、蔵紅花などの在来の薬材の人工栽培をおこない、全国最大のチベット薬材基地を設置し、全国チベット医薬研究・開発・生産センターを設立する。
高原の特色のある生物産業とグリーン食品業 チベットは野生の動植物資源が豊かであり、第十次五カ年計画期に、チベットはこの強みをいちだんと生かし、高原食用菌類、紅景天など高原の特色のあるグリーン食品加工業の発展に力を入れ、飲用水資源が充実し、微量元素が富んでいるというチベットの強みを生かして、ミネラルウオーター、ビール、植物保健食品の生産を発展させ、国家クラスグリーン飲料生産基地を作り上げる。チベット東部における野生菌類開発基地、チベット東部における野生生物食品生産基地、チベット北部における野生生物食品開発基地を作り上げ、グリーン食品生物資源生殖質バンクを確立し、かなりの加工能力とブランド効果を形成する。
農業・牧畜業製品の加工業と民族手工業 チベットの農業・牧畜業資源と民族手工業には独特な優位がある。第十次五カ年計画期に、チベットはヤク、優良品質のハダカムギなどの農業と牧畜業製品の高度加工の発展に力を入れ、産業化経営を通じてスケール経済に転換させ、民族の手工業技能の強みを十分に生かして、輸出向けじゅうたんを目玉製品とし、観光おみやげ品の開発を重点とし、民族手工業の発展に力を入れる。
鉱業 チベットは鉱物資源が豊かで、確認ずみの鉱物資源の潜在的価値は6500余億元に達し、一人当たり25万元となり、現在鉱業の開発生産総額は同自治区の国内総生産の4%を占めている。第十次五カ年計画期に、チベットは鉱業を重点的に発展させ、地質調査測量を強化し、市場ニーズのあるクロム、銅、金、鉛、亜鉛、ホウ素、リチウムなどの鉱物資源を重点的に開発し、玉竜銅砿、ザブイ湖資源などの重要な開発プロジェクトに対し、市場メカニズムを運用し、内外の資金を導入し、技術による株式参加、協力・開発によって、鉱物資源開発の付加価値を高める。
建築業・建材業 建材業はチベットの重要な支柱産業となり、2000年における建築業生産額は国内総生産の14.1%を占め、第十次五カ年計画期に、チベットは西部大開発のチャンスをとらえ、強い企業を育て上げ、市場行為を規範化し、建築材料の質を高める総体的な要請に基づいて、建築・建材業を急速に発展させる。 |