地形と地勢 |
山地と平原の分布については、この省は北西部、北部、南東部が高く、北東部、南西部が低い地形となっている。北西部には大興安嶺山地があり、北部には小興安嶺山地があり、南東部には張広才嶺、老爺嶺、太平嶺、完達山などの山地があり、南西には嫩江、松花江などの川があって南から北へとこの省を斜めに横断するように流れ、北東部の三江(黒竜江、嫩江、松花江)平原、南西部の松嫩(松花江、嫩江)平原を形成している。南東には興凱湖がある。丘陵山地の標高は300〜1780メートル前後で、省全域の総面積の約70%を占め、平原地帯の標高は50〜250メートル前後で、省全域の面積の約30%を占めている。 |
土地 |
省全域の土壌面積は4437万ヘクタールで、土地総面積の97.7%を占めている。黒竜江省の土地条件は全国で一位を占め、土壌の有機物の含有量も多く、農業に適した土壌は省全域の土壌総面積の40%を占め、黒土、カルシウム黒色土、草原土の面積は省全域の耕地総面積の67.6%を占め、世界でも知られた三大黒土地帯の1つである。省全域には現有のものとして耕地が1180万ヘクタールあり、草原面積は約433万ヘクタールで、農業の予備資源面積は479万3000ヘクタールである。耕地と樹林地帯の面積は全国で1位を占め、牧草地の面積は7位を占め、開発を待たれる土地は4位を占め、開墾可能な予備耕地面積は2位を占めている。耕地総面積と開発可能の土地予備資源はいずれも全国の10分の1以上を占めており、1人当たり耕地と農民1人当たりの営農用耕地は全国平均レベルの約3倍である。 |
気候 |
黒竜江省の気候は温帯、寒帯の間の大陸性モンスーン気候である。年間平均気温は-4°〜4℃である。気温は南から北へと低くなり、南北の差は8℃である。夏になると、気温が上昇し、降水が多くなり、日照時間が長くなり、農作物の生長に適している。太陽光の資源が豊富で、年間太陽光エネルギーは1平方センチあたり100〜120キロカロリーである。春は風速が最大で、南西部は大風が吹く日が最も多く、風力エネルギー資源が豊富である。 |
森林資源 |
黒竜江省は全国最大の林業省の1つであり、林業生態系の地位は非常に重要である。省全域の営林総面積は3126万ヘクタールで、省全域の土地面積の68.9%を占めている。樹林地帯の面積は1919万ヘクタールで、活着した樹木の総蓄積量は15億立方メートルで、森林被覆率は41.9%に達し、森林面積、森林総蓄積量と材木生産量はいずれも全国で一位を占め、国の最も重要な国有森林区域と最も大きな材木生産基地である。森林の樹木の種類は100以上に達し、利用価値の比較的高いものが30以上ある。天然林資源は黒竜江省の森林資源の主体であり、主に大小興安嶺、長白山脈、一部の半山間地帯の県(市)に分布している。 |
鉱物資源 |
確認済みの鉱物は131種に達し、埋蔵量確認済みの鉱物は74種ある。石油、グラファイト、ケイ線石、鋳石玄武岩、アスベスト用玄武岩、セメント用大理岩、顔料黄土、火山灰、ガラス用大理岩とカリ長石など10種の鉱物埋蔵量は全国で一位を占めており、石炭埋蔵量は東北の3つの省で1位を占めている。黒竜江省で現在すでに開発・利用されている鉱物は39種に達し、さまざまな鉱物の年間生産額は全国で2位を占めている。 |
エネルギー |
黒竜江省は国の重要なエネルギー工業基地である。1999年の省全体の原炭生産量は6230万トンで、石炭を出荷、輸出する主な省の1つである。電力、ガスも重要な地位を占めている。新中国成立以前、黒竜江省には鏡泊湖水力発電所しかなかった。数10年来、水力発電所と火力発電所が同時に発展をとげ、1999年になると省内の大小発電所は200所近くになり、ユニット総容量は約1000万メガワットに達するようになった。水力発電所発電量は14億メガワット時に達している。ハルビン市ガス化学工業総公司所属のハルビン=伊春ガスプロジェクトの日間ガス生産量は189万立方メートルで、建設の総規模は「アジアの最大」である。 |
水資源 |
黒竜江省は中国でも水資源の比較的豊かな省の1つである。省全域には河川・湖が多く、黒竜江、ウスリー川、松花江、嫩江、綏芬河など五大水系があり、現在湖、ダムが6000以上もあり、水面の面積は80余万ヘクタールに達する。年間降雨量の70%は農作物の生長期に集中し、降水と暑さが同じ季節になり、生物の生長環境としては望ましい。 |
動植物
資源 |
野生動物は6目20科、86種もあり、全国の種の数の21.6%を占め、そのうちAクラス重点保護指定を受けている種類としてはクロテン、グラッツン、ヒョウ、トラ、ニホンジカなどの5種類がある。鳥類は19目57科、343種で、全国の種の数の29%を占め、Aクラス重点保護指定を受けているものとしてはタンチョウヅル、中華アイサガモ、コウノトリ、イヌワシなどの12種類がある。野生植物は2100余の種類で、そのうち裸子植物は4科、8属、17種で、被子植物は107科、636属、1747種であり、種子植物は111科、644属、1764種である。経済的価値のある野生植物資源の蓄積量は約250万トンで、食用に供するものは25万トン以上であり、野生草類の製紙材料は100余万トンに達し、さまざまな漢方薬草は125万トンに達する。 |
作物資源 |
黒竜江省はダイズ、小麦、トウモロコシ、ジャガイモ、水稲などの穀物およびテンサイ、亜麻、乾燥したタバコの葉などの工芸作物がよくとれる。 |
観光資源 |
黒竜江省の観光資源の特色は鮮明であり、氷と雪の資源は全国で最高といえる。スキーができる期間は120〜140日間に達し、雪の質もよく、降雪も多く、山間地帯の降雪は100〜300センチに達することもあり、山の傾斜度もちょうどよく、大型スキー場をつくるのに適した場所が100以上もある。美しい山川、森林、草原、湿地、河川、湖はエコロジー観光を繰り広げる資源の基礎となっている。人文資源も多彩で、いろいろな民俗、長い歴史をもつ少数民族が住んでおり、唐代の渤海国、金の上京会寧府、竜泉府の遺跡がよく保存されている。黒竜江、ウスリー川といった国境地帯を流れる2大河川をめぐって繰り広げられている対ロシア国境地域と多国間旅行はこの省の重要な旅行商品である。ハルビン、大慶、伊春などの都市は北部国境地帯の都市として特色が濃厚である。そのほか、東北のタイガーパーク、タンチョウヅル棲息地、オーロラ、火山噴火口の森林および大工場(鉱山)、広大な農業地帯、大油田などの工業、農業の観光資源があり、これらはすべて特色のある観光を発展させるための物質的基盤である。省全域はすでに自然保護区が84カ所(そのうち国家クラスのものが7カ所、省クラスのものが17カ所)も設置され、総面積は230万ヘクタールで、省全体の面積の5.05%を占めている。 |
環境状況
と問題 |
大気質 都市環境問題としての空気汚染は典型的な煤煙型汚染の特徴を持っており、主な汚染物質は総浮遊粒状物質で、監視測定がおこなわれている10の省管轄都市の60%の都市の総浮遊粒状物質の年間平均値は国の環境空気質の2級基準を上回るものであり、暖房期における都市環境空気質は明らかに非暖房期より劣っている。
水質 さまざまな河川の有機物質による汚染はやはりひどく、結氷渇水期の水は酸素がひどく不足し、それぞれの流量の期間における過マンガン酸塩の指数はいずれも基準を超えるサンプルが採取されており、都市付近水域の生物化学酸素要求量も基準を超えている。 |